給電側(1次側)である商用周波(UF)AC-高周波(HF)AC変換部のより詳細な実証評価とともに、負荷側(2次側)のHFAC-DC変換部についてシミュレーションおよび実験により検討した。 まず,給電側を構成するUFAC-HFAC変換では、提案する整流器レス(ブリッジレス)ブーストハーフブブリッジ(BHB)回路により、電源電圧を非平滑DCリンク部で昇圧しながら1段変換にて高周波電流を生成できることを実証した。加えて、電源電流の力率改善動作も可能であることを実証し、単相200V商用電源に対する高調波規制値「IEC-61000-3-2-C」をクリアすることを実験により明らかにした。さらに、非平滑DCリンクを利用した提案回路に特有の電源電圧レベルに依存したゼロ電圧ソフトスイッチング(ZVS)動作について、その転流メカニズムと発生条件との関係を明らかにした上で、回路パラメータ設計手法を確立した。誘導性交流負荷を利用した2.8kW試作装置の実験により、95%超の高効率な電力変換動作を実現し、従来の2段変換と対比して2%近い効率改善を実証した。 次に、給電側のHFAC-DC変換について、低耐圧(低オン抵抗)パワー半導体スイッチを効果的に利用できる3レベル構造の電力変換回路を検討した。直流400V以上の入力条件では、スーパージャンクションパワーMOSFETを効果的に利用できる。また、直列共振により3レベルインバータをZVS動作し、DC出力部の整流器をゼロ電流ソフトスイッチイング(ZCS)動作可能であることを実証した。 さらに、1次側HF出力部からHFトランスおよびローパスフィルタを介して2次側入力を得る場合に有効となる電力変換回路として、3レベルコンバータを発展させたシングルステージAC-DCコンバータを考案した。シミュレーションによる評価の検証の結果、3レベル構造の特徴を生かしながら、少ない電力変換数にて所望の出力が得られることを明らかにした。
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