研究課題
プラズマジェットがターゲット上に供給する活性酸素(ROS)の分布を照射範囲と定義し各種実験を実施した.ROS検出にはKI-デンプンのゲル状試薬を用いた.特筆すべきはターゲットが大気中にある場合だけでなく,液や模擬生体中にターゲットが存在する場合も実験可能な手法を見出し,成果を得た点である.以下にそれぞれの条件において得られた成果をまとめる.【大気中】ヘリウムのみで発生させたプラズマジェットによるROS分布は,ターゲット上で小さなドーナッツ状に分布していることを明らかにした.一方,ヘリウムに酸素を0.5%添加すると,ROS分布は照射中心部周辺のROS濃度が濃い部分とその周辺の薄い部分に二層に分かれることを視覚的に示した.またこれらの照射距離依存性も明らかにした.【液中】プラズマジェット照射特有の液中ROS供給を得るためには,照射距離が重要であることを実験的に示した.本研究においては照射距離10mm以下となる.またプラズマ発生器に供給するガスの流量によって,液中ROS供給の制御が可能であることを示した.これら全てをプラズマ照射によって液中に誘起される流れと関連させて考察を行った.【模擬生体中】人体に直接プラズマを照射する場合を想定し,模擬生体を介したROS供給について調べた.その結果,供給ガス(ヘリウム)への酸素の添加が模擬生体を介したROS供給を促進することを明らかにした.模擬生体通過後のROS分布は,プラズマ照射した直下だけでなく広範囲にROSが供給されていることを明らかにした.本研究において可視化した液中,模擬生体中のROS分布に関する結果には,今まで明らかでなかった知見も多く含まれており,プラズマの照射範囲制御において大きな成果であると考えている.本事業で得られた成果を基礎として本研究をさらに発展させる予定である.
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
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