研究課題
若手研究(B)
窒化物半導体太陽電池を実用化するために、新規基板の開発が求められている。本研究では、申請者がこれまでに開発してきた精密エピタキシー技術を発展させ、窒化物半導体太陽電池のための、超高品質基板の開発を行う。具体的には、窒化物/酸化物界面制御技術と酸化物剥離技術をもちいて、格子定数とバンドギャップの自由度が高いInGaAlN単結晶の高品質化とその自立基板の作製を行う。平成25年度は高品質窒化物単結晶薄膜のエピタキシャル成長を実現するために、酸化亜鉛基板上にコヒーレント成長が可能な組成と膜厚の調査を行った。酸化亜鉛基板上では窒化物半導体が特定の混晶組成で完全に格子整合する場合があり、その組成近傍付近でのエピタキシャル成長を行ったところ、その臨界膜厚は100nmを超えることが判明した。この臨界膜厚は、古典的なフォースバランスモデルから予測される値を凌駕してした。本研究では、パルス励起堆積法による低温成長を行っているため、結晶成長時の転位の運動が抑制された結果、ミスフィット転位が導入されること無く、厚いコヒーレント薄膜を得ることができたと考えられる。さらに、コヒーレント成長した窒化物半導体薄膜の光学特性の系統的な解析を行ったところ、酸化亜鉛基板上では特有の偏光特性を発現することが明らかになった。
2: おおむね順調に進展している
窒化物半導体基板作製のテンプレートとなる、窒化物/酸化亜鉛界面の制御技術を確立し、窒化物薄膜の高品質化が実現する組成領域・膜厚を見出すことができた。この技術を基に、最終的な目標である窒化物薄膜の自立基板化へ繋がるものと考えられる。
平成26年度は、引き続き、窒化物薄膜の高品質化を進めながら、界面剥離技術の開発を行う。剥離後の薄膜の品質を詳細に評価し、その結果を薄膜成長の条件へフィードバックすることで、最適組成を見出す。
薄膜作製に必要な材料費およびシミュレーションに必要なコンピュータ・ソフトウェアの購入額が当初の見積よりも少なく済んだため。薄膜の更なる高品質化のために必要な結晶装置機器類(モニタリング装置)や材料の購入に当てる予定である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
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