研究実績の概要 |
本年度は,帯域通過フィルタの中心周波数の制御法の明確化および昨年度までに磁性膜を集積化した伝送線路を用いて帯域通過フィルタの通過量の周波数依存性の測定,更に最終年度にコイルを含めたインピーダンスの異なる様々な配線パターンで実測を行い,設計指針を考察するため,東京大学VDECのICチップ試作サービスを用いて線幅の異なる複数のオンチップ配線およびコイルを試作した. 帯域通過フィルタの中心周波数の制御法に関しては,磁性膜に生じる反磁界の大きさが磁性膜近傍の信号或いは電源配線の寸法によって様々に変化するため,それぞれの配線上で磁性体の帯域通過フィルタの中心周波数が異なるという問題が生じることを示すとともに,その中心周波数は,磁性薄膜の複素透磁率および導電率の材料物性値と寸法などの設計値を正しく入力することにより,電磁界解析を用いて導出可能であることを,磁気回路を用いた解析により予測した (山口正洋他,まぐね,Vol.10, No.1, 2015). また,昨年度までに磁性膜を集積化した伝送線路および磁界プローブ(重田洋二郎他, 平成26年度電気関係学会東北支部連合大会,1A09, 2014)を用いて帯域通過フィルタの通過量の周波数依存性の測定を行った.その結果,実測値が予測した解析値と一致した.このことから,磁性体を帯域通過フィルタとして用いる際のフィルタの通過量,通過帯域,遮断量の導出法の妥当性は示された. 更に最終年度にコイルを含めたインピーダンスの異なる様々な配線パターンで実測を行い,設計指針を考察するため,東京大学VDECのICチップ試作サービスを用いて線幅の異なる複数のオンチップ配線およびコイルを試作し,最終年度の実験準備を整えた.
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