研究課題/領域番号 |
25820137
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
山梨 裕希 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (70467059)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ジョセフソン接合 / 磁気センサ / 単一磁束量子回路 |
研究概要 |
本研究では、超伝導磁気センサと、その制御・読み出し回路を集積した高性能磁気センシングシステムの開発を目的とした。本年度は提案した超伝導ストカスティック回路を用いた超伝導磁気センサの動作点固定方法を実現する回路の設計および、数値計算による回路動作の解析を行った。これまでに超伝導磁気センサへの入力磁束が変化した場合の出力電圧パルス列の周波数変化を検出することにより、正しく磁束変化を測定できること、磁気センサの動作点が固定できることを確認した。磁束分解能は超伝導体中の磁束の最小単位である磁束量子の100分の1以下を達成できること、従来の超伝導磁気センサに比べて高いスルーレートの磁気センサを構成できることを確認した。測定磁束の読み出しに用いられるアップダウンカウンタの高速動作化を図り、30 GHzの高速入力時でも安定して動作するカウンタを設計した。効率的に多チャネルの磁気センサを構成する方法として、出力信号の多重化方法について、時分割多重化方式と符合分割多重化方式を本磁気センシングシステムに用いた場合のセンサの性能、回路規模、必要となる室温と低温間の配線数について見積もった。時分割多重化は配線数の減少に有効であり、符合分割多重化はセンサの性能を劣化させることなく多チャネルの磁気センサを構成できることがわかった。4チャネルの磁気センサの符号分割多重化回路を設計、試作し、その正常な動作を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
提案した超伝導磁気センサの動作点固定法が有効であることを確認した。本研究で検討した超伝導磁気センサの動作点固定法は特許出願を行った。磁気センサの多重化回路の設計と動作検証に関する成果は論文として発表した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方針として、設計を終えている回路の測定を行い、磁束分解能やスルーレートを実験的に評価する。スルーレートの測定では回路の数十GHzの高速動作を測定しなければならないため、高速測定用の回路の構成を検討する必要がある。超伝導磁気センサの動作点固定に用いる磁気結合を実現する回路構成を見直し、より高い磁束分解能を得る。超伝導磁気センサを多チャネル化した際、磁場の空間的な勾配を測定するグラジオメータの構成法について検討を行う。本磁気センシングシステムの高いスルーレート、多チャネル化の容易さという特徴を最大限利用できる応用を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
数値計算に用いる計算機の金額が当初見込みより安かったため。 実験のために必要な液体ヘリウムを消耗品として購入する。国際会議出席のための旅費として用いる。
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