本研究では、超伝導磁気センサと、その制御・読み出し回路を集積した高性能磁気センシングシステムの開発を目的とした。本年度は、磁場環境下での磁気センサ回路の動作を目指した磁場耐性を持つ超伝導回路の提案およびその動作実証、詳細な回路解析と実験による磁気センサの性能評価を行った。磁場耐性を持つ超伝導回路の研究においては、回路全体を超伝導薄膜で覆うことにより、回路に対する外部磁場の影響をなくす回路構成を検討し、その実測による評価を行った。まず回路全体を超伝導薄膜で覆っても回路設計は問題なくできることを示した。提案した回路構成によってTフリップフロップを試作し、地磁気環境下での120 GHzの動作を実証した。回路解析による磁気センサの性能評価では、磁気センサとしての性能である、磁束分解能、ダイナミックレンジ、スルーレートが回路のどのパラメータによって決まるかを明らかにした。この結果を受け、磁気センサであるSQUIDと磁束フィードバック部の磁気結合を調整することにより、磁束量子の1/1000の磁気分解能を達成できることを示した。
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