研究課題
ジャイロトロンは,テラヘルツ帯で高出力・連続発振可能な唯一の電子管である.ジャイロトロンの高出力化,並びに高効率化には,高品質の電子ビームを生成する電子銃が必要となる.本研究では,電子ビームの性能目標である "高ラミナー性" と "低速度分散" を達成する,電極の設計技法を構築した.計算機シミュレーションの結果,電子ビームのラミナー性を改善する,特徴的な静電ポテンシャル分布がある事を発見した.当該ポテンシャルの形成に必要な電極形状を調べ,以下の [1],[2] に示す 2 つのジャイロトロンの電子銃設計に適用した.最終年度は,各々の性能を調べる実験を行い,設計の妥当性を確認した.[1] 300 GHz 高出力パルスジャイロトロン前年度に続き,300 GHz 帯で 200 kW 超の出力を実現する管の開発を進めた.電子ビームのラミナー性が向上した事で,ビーム電流の大きな領域でも速度分散を小さく抑える事が可能となり,最終的に出力 246 kW,発振効率約 27% の発振実験に成功した.結果は,国内外の学会で報告するとともに,学術論文にまとめて発表した.この管は,核融合プラズマ実験装置 LHD における,計測用光源の性能要件を満たしており,実用化へ向けて研究を展開させる予定である.[2] 多周波数発振ジャイロトロン電磁波源としての広範な応用展開を目指し,発振周波数を段階的に変える事のできる新たな管の実現に向け,専用の電子銃を開発した.非常に広い動作領域で低速度分散を維持できるラミナー流の特長を生かし,162 GHz から 265 GHz までの 10 の周波数において,1 kW 程度の出力で安定発振させる事に成功した.発振実験と設計計算の結果を比較し,全発振周波数に対して,この管が設計に近い特性を有する事を確認した.以上の成果は,年度末の国内学会にて発表した.
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (12件)
Nuclear Fusion
巻: 55 ページ: 013002-1-10
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Journal of Infrared, Millimeter, and Terahertz Waves
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Physics of Plasmas
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10.1063/1.4893417