○人工材料を用いた反射・透過制御材設計法の確立について 平成26年度迄の研究において、無限長金属線周期配列材の両側に誘電体を配置した構造の反射・透過制御材においては、全透過と無反射(反射係数が-20dB以下)の周波数範囲がほぼ同じになることを確認している。仮に、これら全透過・無反射の状態を別々の周波数領域において設定できれば、実用上非常に有効な電磁環境対策材料となる。 平成27年度では、新たな人工材料として有限長の金属線を同一方向に周期配列した材料を反射・透過制御材の一部に取り入れた構造を提案し、この制御材が上記の特徴を有するかどうか検討を加えた。本研究で用いた有限長金属線配列材の等価比誘電率は、共鳴形の分散特性を示し、金属線長さを調整することによりマイクロ波~ミリ波帯の周波数領域において共鳴周波数を任意に制御できる。この人工材料を用いることにより、従来構造より得られた全透過周波数以外に、共鳴周波数付近に別の全透過周波数を設定できることを確認した。以上のことより、本制御材により全透過・無反射周波数を別々に設定できることを見出した。 ○ミリ波帯における電磁遮蔽量測定装置の開発について 平成26年度において作製したミリ波帯用電磁遮蔽量測定装置の有効性について検討した。具体的には、伝送線路理論により計算したミリ波用遮蔽材の透過係数と本装置により測定した値が良好に一致することを確認した。さらに、測定試料を傾けることにより本装置により斜め入射特性が測定できる工夫を設けた。また、ミリ波用反射・透過制御材の遮蔽特性を評価し、妥当な結果を得ることができた。 本研究機関全体を通し、新たな反射・透過制御材設計法を確立できた。さらに、作製した電磁遮蔽量測定装置を用い、ミリ波帯までの高周波領域までの電磁遮蔽材の評価が可能となった。
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