研究課題/領域番号 |
25820150
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
柏谷 裕美 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 分析計測標準部門, 主任研究員 (60443181)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ジョセフソン接合 / 超伝導 |
研究実績の概要 |
超伝導トンネル接合を用い、既存の冷凍機と組み合わせ、超伝導トンネル接合上で(既存の)冷凍機の冷却温度以上に低い温度を実現させる固体冷凍機の冷却能力改善を目指すための研究を行っている。実際の冷却は、超伝導接合上に冷却したい微小サンプルを熱的に接触させ、固体冷凍機から排熱を行うことを想定しており、冷却が必要なセンサー部分のみを局所的に冷却することにより効率のよい冷却を行うことができる。固体冷凍機は、素子中の準粒子を利用して排熱を行う。アンデレーフ反射が起こると排熱が行われにくくなるが、強磁性体を用いるとスピンによりアンデレーフ反射が起こりにくくなると想定されるため、強磁性体を用いた接合の場合の冷却効果の改善を検証するための実験を行っている。 育児休暇により研究を中断していたため、それまでに作製を行っていた常伝導(N)/絶縁体(I)/超伝導体(S)接合の作製プロセスに関し、装置を変更が生じたものもあるため、プロセスの再構築を行った。作製した素子の冷却に関して、(既存の)冷凍機の引越しのために、こちらも冷凍機の移設および動作確認を行い、正常な動作を確認後に接合の冷却を行った。 今年度は、常伝導体(N)の代わりに強磁性体(F)を使用したF/I/S接合のプロセス構築および作製した素子を冷凍機に配置し特性を測定することによる冷却効果の検証、また超伝導体中の排熱プロセスに関しても測定を行い研究を進めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
育児休暇により、研究を長期に中断していたために、素子作製に関しては作製プロセスに使用できる装置に変更が生じたため、これまで確立していたプロセスに関して、再構築の必要が生じ、想定していた以上に進捗が遅くなった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に、日大の研究室より予定通り三層膜の提供を受けることができたので、今年度はこの三層膜を用いて、スピン偏極状態の緩和過程の測定を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
産休および育休の取得により、当初予定された科研費の年度を超えて繰越を行っているため。
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次年度使用額の使用計画 |
超伝導トンネル接合の成膜に必要なピンセットやマスクといった消耗品、共同利用施設での装置使用料金、スパッタ装置に使用するターゲットや、学会発表のための旅費などに使用予定である。
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