研究課題/領域番号 |
25820158
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
後藤 富朗 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20324478)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | TV正則化法による超解像画像の画質改善 / 事例学習法の性能改善 / GPGPUサーバへの超解像システムの実装 |
研究概要 |
(1)TV正則化法の改善については、TV正則化拡大関数の中に、ボケ要素を改善する畳込積分項を設ける手法では、演算時間が非常に大きいことが問題となっている。この解決策として、非線形フィルタを用いた超解像手法を確認中であり、この方法によって、大幅な演算時間の削減とともに、シャープなエッジの立ち上がりを実現することを目指した。その結果、TV正則化法とShockフィルタを用いた手法により、ボケ作用素を用いたTV正則化手法とほぼ同等の画質改善を行うことができ、演算時間を大幅に短縮できることを確認した。 (2)事例学習法の改善については、TV正則化法を用いた事例学習法は大きな性能改善が見込まれるため、それを目指して、LLE法、主成分分析法、クラスタリング法などを適用して実験を試みた。また参照画像の数とパッチサイズの大きさと画質改善の関係を解明することによって最適な事例学習法の解を求めた。その結果、処理時間の短縮には成功したが、処理時間を短縮させればさせる程、画質が劣化してしまうことも確認できた。そのため、事例学習法による画質改善にはあまり期待できないことを確認した。 (3)GPGPUサーバへのシステムの実装については、GPGPUサーバ上にシステムを実装し、ハイビジョン映像に対する処理性能について検証した。その結果、最新のGPGPU(NVIDIA社製Geforce GTX TITAN)において実時間処理が可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)提案したTV正則化法と事例学習法の組み合せによる超解像度画像復元法がどこまでの高性能を有するものなのかを明確にし、他方式との比較を行った。 (2)TV正則化手法の最も優れているとされるアルゴリズム(Chambolleの射影法)を、4方向TVの採用と、時間方向の拡張によって、演算時間を従来法に比べ約1/10に改善した。 (3)事例学習法の種々のアルゴリズムの改良に取り組み、画質改善およびその計算時間を短縮し、TV正則化手法と同じ処理時間となった。 (4)本アルゴリズムを汎用画像処理プロセッサ(GPGPU)上に実装し、ハイビジョン動画像の次世代型超高精細超解像システムを構築した。 以上より、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
(1)TV正則化法の演算時間の改善について、TV正則化法の解法としては、Chambolleの射影法は、この分野では最も優れた方法として確立している。この方式において、まず、2方向のTV項を4方向に拡大し、まず収束速度を2倍にする。次に、アルゴリズムを時間方向に拡大し、約5倍の収束速度の改善をめざす。この結果、全体の収束時間は現在のアルゴリズムの1/10となることが予想される。 (2) 事例学習法の処理速度の改善について、TV正則化法を用いることによって、事例学習法の速度が改善されるということは、本方式によって初めて得られた知見である。この利点を生かすべく、パッチサイズの拡大、参照画像の限定、主成分分析、K-means法によるクラスタリングなどを用いて、可能な限り、事例学習法の処理時間を削減する。最終目標としては、TV正則化アルゴリズムと同時間、すなわちC言語シミュレーションで数秒程度を目指す。 (3) 画質評価法の確立について、超解像度画像に適した客観的画質評価法を確立し、超解像技術の性能評価を行う。 (4) 複数GPGPUサーバによるシステムの構築について、複数GPGPUサーバを用いたシステムの構築を行い、各サーバを協調動作させることでシステムの高速化を図り、フルハイビジョン映像のリアルタイム超解像を実現させる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の予定していた発表を平成26年度の発表に変更したため、差額が生じているが、発表内定は既に出ているため、平成26年度中の旅費として支出予定である。 4Kディスプレイを購入し、2台のサーバにシステム構築を行い、サーバを協調動作させることでシステムの更なる高速化を図る。旅費関連としては、国内・海外発表を主体とする。また、これまでの成果を論文にまとめる。 平成25年度の繰越金額は、国際会議発表旅費(ICPR2014、採録決定済)の出張旅費に充てる。ICPR2014(IEEE International Conference on Pattern Recognition)は、2014年8月24日~8月28日にストックホルム(スウェーデン)にて開催され、発表題目は、「Super-Resolution System for 4K-HDTV」を予定している。
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