本研究の目的は、メッシュベース画像処理の基本モデルを構築することである。このモデルは、メッシュの要素に対して適用されるアフィン変換にさまざまな制約を与えることでメッシュを変形し、所望の画像処理を実現しようとするものである。この目的を達成するために、平成26年度は、前年度に構築した一般化メッシュリサイズモデルをメッシュベース画像処理の基本モデルへ拡張することを目標とした。 この拡張を実現する際に、画素ベース画像処理とメッシュベース画像処理の間の違いをどのように埋めるのかが問題となった。これを実現する方法として、近年盛んに研究が行われているグラフ信号処理を橋渡し役として、メッシュベース画像処理と画素ベース画像処理を結びつけるアプローチが有力であることを見出した。 このアプローチをベースとして研究を進め、補間処理などの一部の処理については、メッシュベース画像処理を用いて実現可能であることを確認できた。リサイズ以外の処理にメッシュベース画像処理を拡張して適用できており、汎用性の面では改善の余地が残されているが、本研究の目的を達成することができた。 グラフ信号処理を用いてメッシュベース画像処理と画素ベース画像処理を結びつけ、より汎用性の高いメッシュベース画像処理の基本モデルを構築するためには、今後のさらなる研究が必要であることが分かった。本研究において、この新たなアプローチを見出したことは、画像処理分野の発展にとって大きな意義があると考えられる。
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