研究課題/領域番号 |
25820161
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
仲村 泰明 愛媛大学, 理工学研究科, 講師 (50380259)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 学会発表 / 論文投稿 |
研究概要 |
高密度記録状態におけるTDMR方式は開発途上にあり、記録再生実験によって得られた実波形を信号処理方式の開発に用いることは困難であるため、記録再生系モデルを用いた計算機シミュレーションを繰り返し行いながら方式検討を実施せざるを得なかった。しかし、面記録密度200Gbit/inch2程度のヘッド・媒体をスピンスタンドに装着して再生波形を得たのち、この記録密度の記録再生チャネルにスケールを合わせてシミュレーションを行ったモデル波形を比較した結果、モデル波形は実験波形を良く再現できていることが明らかとなった。そのため今後は、この記録再生系モデルを用いてTDMR方式の検討を進める。また現在は、簡単のため記録ヘッドからの記録磁界の計算は線形と仮定して、ヘッド磁界の計算をしているが、これが記録された磁化パターンに与える影響が大きいことが明らかとなった。記録ヘッドの磁界をマイクロマグシミュレーションで計算した値に変更することも要検討である。 トラック間干渉を制御するため、3つのヘッドで両隣接のトラックの波形まで用いた二次元等化方式をBinary LDPC符号化繰返し復号化方式に適用した結果、トラック間干渉を考慮しない等化方式に比べて良好な特性が得られることが明らかっとなった。また、2ヘッドで再生した再生波形を用いるだけでも、隣接トラックからの干渉を軽減できることが明らかとなった。今後はNon-binary LDPCを適用して、どの程度まで特性を改善できるか、またトラック間の情報を用いた繰返し復号の検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
面記録密度200Gbit/inch2程度のヘッド・媒体をスピンスタンドに装着して再生波形を得たのち、この記録密度の記録再生チャネルにスケールを合わせてシミュレーションを行ったモデル波形を比較した結果、モデル波形は実験波形を良く再現できていることが明らかとなった。そのため、ほぼ計画通りに進展しいる。研究成果は、電子情報通信学会 2014年総合大会や電気関係学会四国支部連合大会をはじめとした国内学会で発表した。また、2014年5月にドイツ ドレスデンで開催される国際会議Intermag 2014で成果報告すると共にIEEEの学会誌に論文投稿を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今回作成したヘッド・媒体モデルを用いて10Tbit/inch2の超高密度記録におけるトラック間干渉の影響を繰り返し復号における状態遷移確率計算に導入して性能改善を図る。超高密度記録状態においては、数個の磁性粒子に1ビットの情報を記録しなければならないため、隣接トラックの記録パターンによって記録しようとしている情報が誤って記録される状況が発生することが予想される。したがって、隣接トラックの復号パターンまたは再生波形により状態遷移確率に重みを付けて計算する方法を確立する。また、多次元LDPC符号は、複数の情報ビットを一つの符号シンボルとして取り扱うためトラック間干渉を減できる符号配列の検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定していた学会への参加ができなかったため、旅費が余った。 平成25年度に行けなかった調査を平成26年度に行う。
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