本研究は新しい誤り訂正方式の開発を行い,誤り訂正符号の中で近年最も注目を浴びている低密度パリティ検査 (LDPC) 符号と確率伝搬型 (BP) 復号法を用いて,訂正能力を可変にする方式を開発した.通信路での雑音発生が刻々と変化する環境に応じて訂正能力を変化させる符号の構成法や符号化法,またそのような符号に適した復号化法の開発を目指し,可変性をもたせることで,本来は無数の誤り訂正符号を用意するために必要なメモリ量低減を図った. 平成27年度は改良BP復号法より符号化率が可変にできる範囲を大きくする方式を提案した.計算機シミュレーションによる実験により有効性を示した.提案した復号法により,ほぼ符号化率が1のレートレス領域で運用可能な訂正方式であることを示した. また無線通信において符号化変調方式のシェーピングを行い,提案した信号点配置とビット置換変調の組み合わせは,従来の信号点配置と多段復号を用いた変調方式より高い性能を示すことを明らかにした.
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