研究課題/領域番号 |
25820167
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
吉岡 大三郎 崇城大学, 情報学部, 准教授 (70435147)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | S-box / カオス / 暗号 / チェビシェフ多項式 |
研究実績の概要 |
標準暗号であるDESやAESに代表されるブロック暗号方式では,S-boxと呼ばれる非線形変換関数により暗号耐性と実装パフォーマンスが大きく決定づけられるため,その設計がとりわけ重要とされる.そこで,区分線形カオス写像に基づく整数値上の1対1写像の新しい構成法を提案し,簡単な整数演算のみを用いるS-boxを設計した.提案手法により得られるS-boxの線形・差分解読耐性を評価した結果,AESのS-boxと同等以上の性能を得ることを数値実験により示すことができた.また,提案するS-boxの回路設計を行い,FPGA上に実装し,評価した結果,最も素子数を抑えるAESのS-box回路設計手法と比べても,より少ない素子数で実装できることが示され,本手法の有効性を実証した. また,計算機実装と相性がよい2べき剰余計算上のチェビシェフ多項式に基づく1対1写像を,暗号や擬似乱数生成へ応用する試みがある.本研究では,得られる系列の周期が2べきとなることを理論的に明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
区分線形写像に基づくS-boxの設計と評価を行い,既存の暗号で用いられるS-boxよりも優れた性能を有することを実証でき,論文として成果をまとめることができた(IEICE Trans. Fudamentals, 2014) また,本研究と関連して,計算実装に優れる2べき剰余計算上チェビシェフ多項式に基づく1対1写像から得られる系列の周期が2べきであることを解明し,論文投稿ならびに採録決定された.(NOLTA, IEICE, 2015)
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今後の研究の推進方策 |
今後,提案した区分線形写像に基づくS-boxを用いた軽量ブロック暗号を設計したい.また,ハードウェア実装の素子数と動作速度の最適化について検討する. また2べき剰余計算上チェビシェフ多項式系列の性質や暗号,擬似乱数としての性能評価をすすめていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は研究発表が国内学会1回のみであり,当初の予定より旅費支出が少なかった.
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次年度使用額の使用計画 |
国際会議の参加と東京大学VDECのチップ試作費による使用を計画している.
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