アンテナを保護するレドーム材料をメタマテリアルレンズに置き換えることでビーム成形や高利得化を簡易な放射器で実現することを目的とし,ビーム成形に必要なレンズ形状とレンズの細径化,さらに3次元積層誘電体メタマテリアル構造の試作を行った. 基地局アンテナに用いられるリニアアレーアンテナを,単一の放射器と負屈折率メタマテリアルレンズの組み合わせに置き換えたレドーム構成について検討した.2GHzにおいてアンテナ長を1.5mとし,屈折率を-1~-4とし,レンズ端部の給電点からの角度を変化させたときのレンズ形状を求めた.波源には1波長ダイポールアンテナが適していることが分かった.レンズ最小半径は屈折率-4のとき30cmになることを明らかにした. 次に,メタマテリアルレドームを実現するために,低損失な3次元積層誘電体メタマテリアル構造を設計した.前年度得られたカットオフ導波管と積層セラミックコンデンサ(MLCC)の組み合わせによる小形メタマテリアル構造は,挿入損失が高い問題があった.そこで,MLCCの実装密度と挿入損失の関係を求め,10GHz帯において低損失となる構造の組み合わせを明らかにした.具体的には,10mm間隔のストリップ間に1pFのキャパシタンス値を有するMLCCを4つ実装した単位セル構造が,低損失となることを明らかにした.誘電体基板上に10×48個のMLCCを実装した基板を5層スタックすることで3次元メタマテリアル構造を試作した.
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