研究課題/領域番号 |
25820169
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
船水 英希 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90516486)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | ディジタルホログラフィ / 顕微鏡 / 血液細胞 / ファイバ光学系 / 分光情報 |
研究概要 |
本研究では,血液細胞の観測に使用される光学顕微鏡で大きな問題となるレンズ収差や合焦機構由来のノイズによる計測誤差をディジタル補正で完全に除去可能なディジタルホログラフィック顕微鏡を可搬性および実用性の高いファイバ光学系により構成し,血液細胞の3次元形状や空間分布および凝固機能を高精度に取得し,RGB半導体レーザにより顕微鏡画像をカラー化することで分光情報を取得可能なレンズレスで合焦不要なファイバ光学系カラーディジタルホログラフィック顕微鏡を新規に提案し,装置の可搬化および4情報による血液検査の高確度化を目的としている. 平成25年度はファイバ光学系による簡素なディジタルホログラフィック顕微鏡の構成と,解析プログラムの開発といった基礎的な研究を行なった.当研究では光学系を簡素にするためにファイバ光学系を用いてレンズやミラー等の光学素子を極力使用しないようにする.また,当初は細胞からの散乱光と透過光により干渉縞が形成可能でレーザ光を分割する必要がないインライン型ホログラフィ光学系を採用する予定であったが,血液細胞の総数が多くなるにつれて再生像の品質が著しく劣化したため,オフアクシス型の光学系を採用するように変更した.そのため,若干光学系が複雑化したが,血液細胞の総数に依存せず再生像を取得する事が可能となった. また,血液細胞の再生像において,各画素における奥行方向の合焦距離を正確に求めるためのマルチフォーカス処理および再生像ノイズを低減するディジタル補正プログラムの開発を行った.これにより,各細胞におけるデフォーカスが解消され,3次元的な距離測定精度が向上した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予算申請時の計画では光学系の可搬設計を視野に入れ,より簡素にするためにレーザ光を分割する必要がないインライン型ホログラフィ光学系を採用する予定であったが,レーザ光を分轄するオフアクシス型の光学系に変更したこと以外はほぼ予定通りである. この変更により光学系が若干複雑になるが,2分岐ファイバと小型のビームスプリッタを追加することで実現されるため,可搬設計には十分対応可能であり大きな問題ではない.
|
今後の研究の推進方策 |
基本的に予算申請時の予定通りに進行する.カラーディジタルホログラフィック顕微鏡を構成するために,RGBレーザを1つのファイバに結合するRGBレーザコンバイナを購入し,実験を行なう.その後,実験データを解析するためのプログラムを作成する.作成するプログラムとしてはRGBの3つの画像の色を合成して分光反射率を推定と,血液凝固を解析するための再生像の画像間相関係数をリアルタイムに計算するプログラムが主にあげられる.その他にプログラムが必要な場合は適宜作成する.
|
次年度の研究費の使用計画 |
申請時の予算見積と,購入の際の差額分で若干の次年度使用額が生じた。 額が小さいので,安価な光学素子や電子機器を購入する予定である.
|