本研究では,血液細胞の観測に使用される光学顕微鏡で大きな問題となるレンズ収差や合焦機構由来のノイズによる計測誤差をディジタル補正で完全に除去可能なディジタルホログラフィック顕微鏡を可搬性および実用性の高いファイバ光学系により構成し,血液細胞の3次元形状や空間分布および凝固機能を高精度に取得し,RGB半導体レーザにより顕微鏡画像をカラー化することで分光情報を取得可能なレンズレスで合焦不要なファイバ光学系カラーディジタルホログラフィック顕微鏡を新規に提案し,装置の可搬化および4情報による血液検査の高確度化を目的としている. 平成26年度では,RGB半導体レーザを用いたカラーディジタルホログラフィック顕微鏡を構成し,被験物体にカラーフィルムを用いて顕微鏡により取得した画像のカラー化と分光情報を推定する方法の考案およびプログラムを開発した.また,このプログラムを血液細胞の赤血球に適用し,分光情報を推定した.その結果,推定された分光スペクトルと真値との誤差が非常に大きくなった.この誤差は,赤血球の分光スペクトルが複数のピークを持つため,RGBの3波長では推定が難しいことが原因と考えられる.これを改善する方法として,推定法の改良や,異なる波長のレーザの追加が考えられる.また,可搬型顕微鏡の開発については,特注でRGB光源を合波するコンバイナを購入し,概ね達成された.
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