研究課題/領域番号 |
25820170
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
福田 誠 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (50507671)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 非線形超音波 / ボルト / ナット / 2次高調波 / 有限要素法 / 接触型音響非線形性 / 圧電振動子 |
研究実績の概要 |
本研究では,有限振幅超音波が金属界面等に入射したとき,非線形振動が生じ,非線形超音波(2次高調波や分調波)が発生するという超音波の非線形性を利用して,ボルト-ナットの締結状態の新しい検査法を開拓している. 非線形超音波はボルトの塑性変形やボルト-ナット間のCAN(接触型音響非線形性)により生じるとされている.発生源に有限振幅超音波を送波し,非線形超音波を発生・伝搬できていることを確認する必要がある.当該年度では,市販の有限要素解析ソフトComWAVEを用いて,塑性変形を模擬した媒質に超音波を伝搬させた場合の解析を行い,2次高調波の発生・伝搬の様子を検討した.実験による結果と同様に,塑性変形が進むにつれて2次高調波が増加する結果が得られた.また,さらに亀裂が成長した場合,2次高調波が減少することも確かめられた. さらに,実験的な検討では,ボルト締結評価について基本波と2次高調波の両面から検討した.連続波超音波を用いた方法では,トルクの増加に伴って,反射係数が減少することがわかった.また,多重反射の影響を検討するため,ナット2個をボルトのヘッドから離れた位置で締め付け,ナットから超音波を送波し,ボルトヘッドで2次高調波の検出を試みた.しかし,これまでの結果と異なり,トルクを変えても2次高調波はほとんど検出できなかった.この原因として,ボルト中は多重反射を繰り返して伝搬するため,エネルギーの小さい2次高調波のほとんどは伝搬過程で減衰してしまうもの考えられた.本手法の適用限界についての検討が必要であることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
有限要素法を用いた解析により2次高調波が発生することを確かめる検討は,おおむね予定どおり進展している. 実験についても,2次高調波だけでなく連続波超音波を用いた検討や,多重反射の影響を検討し,新しいボルト締結評価法に向けて,おおむね予定どおり進展できている.
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今後の研究の推進方策 |
これまでは2次高調波超音波や連続波超音波を用いた検討を行った.ボルト締結以外の非線形超音波を用いた非破壊検査の分野では,分調波や高次高調波を利用する検討が進められている.本研究においても,ボルト締結評価の精度を高められる最適な条件について検討する予定である.
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