2009年、日本における長さの国家標準がHe-Neレーザーから光周波数コムに変わった。光周波数コムは光ファイバーを用いて、必要なところに光信号を配信できる。これは、高信頼性かつ低コストで国家標準につながるトレーサビリティー体系にもとづいた計測や品質管理などが可能であることを意味している。すべての長さ計測は光ファイバーを経由し、統一され、生産の高度化を推進できる。このような高度な生産システムを構築するためには、送られた光周波数コム信号を用いた計測現場で簡便に利用できる実時間・高精度での測長器が必要である。それを可能にする校正システムを開発することが本研究の目的である。本研究は波長とAPRILの対称性に注目している。He-Neレーザーが単色光であるから、波長が長さの物差(つまり、メートル)の実現に使われた。光周波数コムはコヒーレントな多色光である。波長以外に複数な波長のコヒーレントな集合である「隣接したパルス繰返し間隔長」(adjacent pulse repetition interval length: APRIL)という物差も持っている。我々は、波長の代わりに、APRILを用いた長さ計測について研究している。本研究は波長とAPRILの対称性から、APRILを物差しとした2色法を提案した。提案法を数字計算と光学実験により検証した。研究を通して、APRILを物差しとした2色法の基本性能は従来にある波長による2色法とほぼ同じであることが分かった。本研究は光周波数コムを用いた絶対的な長さ計測に貢献できることを期待する。 上記の研究成果をまとめ学会発表や論文発表を行った。
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