平成27年度では、本研究課題のまとめとして、これまでの取り組みで得てきた成果を応用する観点から(i) 分散型固有直交分解に基づく低次元化の同時最適化に基づくアルゴリズム、(ii) 大規模電力ネットワークの分散型固有直交分解に基づく安定性診断の2つのサブテーマを遂行した。 サブテーマ(i)では、これまで提案した大規模システムの有効な低次元化手法の一つである分散固有直交分解に対して、より数値的に有効なアルゴリズムを導出するために、同時最適化に基づくアルゴリズムを提案した。さらに、サブシステムとネットワークシステムのパラメータを用いて、この低次元化による近似誤差もあわせて理論的に導出した。これらの成果は、第58回自動制御連合講演会(2015年11月・神戸市)において発表し、現在論文誌に投稿準備中である。 また、(ii)については、分散型固有直交分解に基づき、適応的低次元化の観点から、大規模電力ネットワークの過渡安定性診断の手法を与えた。一方で、電力ネットワークの安定性診断の有力な手法の一つであるエネルギー関数法との関連に関しては、適切な低次元化後のサブシステムの次元の決定指針などいくつかの解決すべき点が判明し、今後の取り組みにおいて解決すべき理論的課題として残った。この成果は、国際会議SICE Annual Conference 2015(2015年7月・杭州市(中国))にて発表し、現在論文誌に投稿準備中である。
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