研究課題/領域番号 |
25820179
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
丸田 一郎 京都大学, 情報学研究科, 助教 (20625511)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 非線形モデル予測制御 / 区分的線型モデル |
研究概要 |
本研究では対象システムの非線形性を反映した精密なモデルに基づく制御手法を構築することで,安価なコンポーネントによる制御や高効率の制御を実現することを目的としている. 平成25年度は「モデル予測制御のアプローチによる非線形システム制御の検討」と,「より効率的なノンパラメトリック区分的線形モデル構築法の開発」の2点に取り組んだ. 前者の非線形モデル予測制御に関しては,従来とは異なる2つのフィードバック系統をもつ制御機構を提案し,シミュレーションにおいて有効性を確認した.また,提案法の一部を実機実装し,実験を行うことで実問題における有効性を確認した.提案法における2つのフィードバック系統は,局所的な安定性に寄与する戦術的なフィードバックを行う系統と,より長期的な最適性に寄与する戦略的なフィードバックを行う系統であり,これらを組み合わせることで安全かつ最適性が高い制御を現実的な計算量で実現することができると考えられる.また,この結果から非線形システムの制御に必要なモデルについても,これらの2つのフィードバック系統に対応する情報が重要であるという知見を得た. 後者のモデル構築法の開発に関しては,ノンパラメトリック区分的線形モデルを構成するデータ集合からの重要データの抽出について検討し,一つの手法を提案した.これによって,モデルに基づいた制御において必要とされる計算量を大幅に削減できるだけでなく,従来は現実的なデータ量での表現が困難であった複雑なシステムに対しても,モデルを構築することが可能になる.また重要なデータの傾向について得られた知見は,今後より複雑なシステムの制御について検討する上で有用であると考えられる.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非線形モデル予測制御に関する結果は国内学会で発表を行っており,現段階では理論的な裏付けがやや弱いものの,モデリング手法を構築する上で有用な知見が得られている.また,実施計画では予定していなかった実機実験よる有効性の確認も部分的に行えている. ノンパラメトリック区分的線形モデルに関する結果についても国内学会で発表を行っており,より理論的に優れたモデル構築手法や制御手法に繋がる知見が得られている. 以上を総合すると,計画とやや異なる点があるものの,研究はおおむね順調に進展していると言える.
|
今後の研究の推進方策 |
今後はこれまでの研究を継続して非線形システムの制御手法やモデル構築に関する知見を得る.また,これまでの結果をもとに,実装における計算量を意識した制御手法の開発や,より制御での利用に特化したモデル構築についても検討を行う.
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究計画よりも実機検証を前倒しし,高度なシミュレーションを先送りしたことと計算機技術の動向を鑑みてシミュレーション用計算機の購入を延期したため. シミュレーション用計算機の購入に充てる.
|