本研究では,対象システムの非線形性を反映した精密なモデルに基づく制御手法を構築することで,安価なコンポーネントによる制御や高効率の制御を実現することを目的としている.平成27年度はまず,前年度に引き続き「より効率的なモデル構築法の開発」と「モデル予測制御のアプローチによる非線形システム制御の検討」に取り組んだ.前者についてはモデルをほぼ必要としない簡便な制御手法を適用可能なシステムのクラスを明らかにし,後者についてはデータに基づいた一段先モデル予測に基づく手法を実機に適用して有効性を確認した.平成26年度までに得られた知見から,複雑なシステムの制御は戦術的なフィードバックと戦略的なフィードバックにわけて行うことが有効であると考えられるが,これらの成果は主に戦術的なフィードバックの実現において有用であると考えられる. 一方,戦略的なフィードバックを効果的に行うためには新しい方法の導入が必要であると考えられたので,本年度後半には米国のノースイースタン大学に訪問研究員として滞在して国際共同研究を行った.滞在中は近年注目されている最適化理論の応用について議論を行い,スイッチモデルで表現されるシステムの扱いに劣モジュラ最適化が有効であるという知見を得た.
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