研究課題/領域番号 |
25820186
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
佐藤 孝雄 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00347527)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情報交換 / 国際会議発表 / 論文執筆 / 解説記事執筆 / 学会発表 |
研究概要 |
連続時間系で表現される制御対象を離散時間系の制御器によって制御する系の設計を行った。離散時間系の制御器側で得られる情報は、離散時間の情報であるため、制御器は離散時間の情報に基づいて制御入力を求める構造になっている。しかし、実際の制御系は連続時間系であるため、離散時間のサンプル点上の応答だけでなく、サンプル点間応答も重要な要素となるため、両者を最適に設計する必要がある。また、連続時間系と離散時間系の信号を変換する場合、Analog-to-Digital(A/D)変換とDigital-to-Analog(D/A)変換が用いられる。A/D,D/A変換は一般には任意の時間で変換を行うことができず、ハードウェアの性能や制御系を構成する環境に依存する。そのため、制御入力(操作量)のD/A変換とプラント出力(制御量)のA/D変換の速度は常に一致しているとは限らない。両者が一致する系はシングルレート系と呼ばれるのに対し、一致しない系はマルチレート系と呼ばれる。一般にはシングルレート系よりもマルチレート系となる場合が多いが、シングルレート系に比べてマルチレート系は制御系の設計が複雑となるため、シングルレート系として設計される場合が多いが、この時、A/D変換かD/A変換の一方の性能を他方の低い性能に合わせて設計するため、各機器の性能を十分に利用することができていない。 本研究では、上記のマルチレート系に対し、サンプル点上の応答とは独立にサンプル点間応答を再設計する方法について検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マルチレート系において積分補償器の機能に着目して研究を行っている。積分補償を用いて設計することで、ステップ状の目標値へ定常偏差なく追従する系を設計できる。さらに、制御系の変化やステップ状の外乱に対してロバストであるなどの特徴を持つ。しかし、積分補償は全周波数帯域で位相が90度遅れてしまうため、過渡応答が悪化する原因ともなる。そのため、積分補償は常に必要なわけではなく、必要に応じて使い分けることができれば、大変有用となる。これまでに、連続時間系やシングルレート系において、積分補償に関して二自由度設計する方法が提案されている。本研究では、マルチレート系における積分補償器の二自由設計について検討を行った。 さらに、マルチレート系において、比例(Proportional)・微分(Derivative)補償を用いたマルチレートPD制御系ついて検討を行っている。産業界で最も広く利用される制御法はProportional-Integral(積分)-Derivative(PID)制御法であり、そのバリエーションの中にI-PD制御、PI制御、PD制御等が含まれる。本研究では、マルチレート系におけるPID制御系設計の第一段階として、まず、積分補償を利用しないマルチレートPD制御系設計についてのみ検討を行った。
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今後の研究の推進方策 |
マルチレート系の設計方法に関しては、制御対象の表現方法として伝達関数モデルを用いた設計について検討を行ってきた。今後は、状態空間表現されたモデルに基づいてマルチレート制御系の設計方法について検討を行う。状態空間表現を用いることにより多変数系への拡張が容易となるため、多変数系における制御系設計もあわせて行うこととする。 本研究で検討を行っているマルチレート系における積分器の二自由度設計方法をマルチレートPD制御に適用することにより、過渡応答が積分補償により劣化しないマルチレートPID制御系を設計することとする。 さらに、実システムへの適用についても検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
学術雑誌への投稿論文が不採録になったため、論文掲載費が執行できなかった。 国際会議へ投稿した論文が、査読の段階で受理されなかったため、旅費や会議登録費が執行できなかった。 実験装置の検討に時間がかかり、機器を購入できなかった。 提案する理論を検証するためのシミュレーション実装および実機実験のための機器を購入予定である。 研究成果を発表するための出版費用および旅費に使用する予定である。
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