研究課題/領域番号 |
25820186
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
佐藤 孝雄 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00347527)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 性能評価 / PID制御 |
研究実績の概要 |
産業界で最も広く採用されている比例(proportional)・積分(integral)・(derivative)動作を用いたPID制御の性能向上について主に研究を行った。制御系を設計する際に要求される性能のうちもっと最も重要なのは制御系の安定性であるため、制御系の安定性を確保した上で、必要とされる他の制御性能を向上させた。一般に、複数の性能指標は互いにトレードオフの関係にあるため、一方の性能を高めると他方の性能は低下してしまう。そのため、複数の性能を扱う際には、最適性のバランスをいかにとって制御系を設計するかが問題であった。そこで、本研究では、過去の制御データから達成可能な制御性能をあらかじめ求めておき、制御性能を向上させる方法について検討した。そのため、操業中の制御系が実現できる範囲の性能のうちどの程度の性能を実現できているのかを診断することができるだけでなく、どのように設計すればその盛業を向上させることができるのかを理論的に明らかにした。さらに、適応制御系へ拡張しているため、制御対象が未知もしくは変動した場合においても適応的に制御系を再設計することができる。本研究では、理論のみでなく実記実験によってその有用性を確認している。その結果、実現可能な制御性能を達成する制御系を産業界で最も広く利用されているPID制御によって表現していえることから、産業分野に大きく寄与する研究成果を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
制御系の性能診断を行い、さらにその性能を自動的に向上させる方法について理論的な成果を得ることができている。これらの制御系は制御入力と制御量の更新周期が同一のシングルレート系して設計されている。シングルレート系は、マルチレート系に比べて制御系の設計が単純であるため、離散時間制御系、ディジタル制御系、もしくはサンプル値制御系において容易に実現することが可能である。その一方で、制御入力と制御量の更新周期が異なるマルチレート系として設計することができれば、研究成果をより広い範囲に適用することが可能になる。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの達成度で示したよいにマルチレート系において、制御性能の診断および向上に関する研究を今後は進める。それによりサンプリング周期や入力信号の更新周期に制約が存在する制御系に対しても、本研究の研究成果を適用可能な手法として拡張する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学術雑誌への投稿論文が不採用になったため、論文掲載費を執行することができなかった。国際会議へ投稿した論文が、査読の段階で受理されなかったため、旅費や会議登録費が執行できなかった。実験装置の検討に時間がかかり、機器が購入できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
提案する理論を検証するためのシミュレーション実装および実記実験のための機器を購入予定である。 研究成果を発表するための出版費用および旅費に使用する予定である。
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備考 |
補助事業期間延長承認:平成27年3月20日
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