研究実績の概要 |
連続時間系で表現される制御対象を離散時間系の制御器によって制御する系の設計を行った。離散時間系の制御器側で得られる情報は、離散時間の情報であるため、制御器は離散時間の情報に基づいて制御入力を求める構造になっている。しかし、実際の制御系は連続時間系であるため、離散時間のサンプル点上の応答だけでなく、サンプル点間応答も重要な要素となるため、両者を最適に設計する必要がある。また、連続時間系と離散時間系の信号を変換する場合、Analog-to-Digital(A/D)変換とDigital-to-Analog(D/A)変換が用いられる。A/D,D/A変換は一般には任意の時間で変換を行うことができず、ハードウェアの性能や制御系を構成する環境に依存する。そのため、制御入力(操作量)のD/A変換とプラント出力(制御量)のA/D変換の速度は常に一致しているとは限らない。両者が一致する系はシングルレート系と呼ばれるのに対し、一致しない系はマルチレート系と呼ばれる。一般にはシングルレート系よりもマルチレート系となる場合が多いが、シングルレート系に比べてマルチレート系は制御系の設計が複雑となるため、シングルレート系として設計される場合が多いが、この時、A/D変換かD/A変換の一方の性能を他方の低い性能に合わせて設計するため、各機器の性能を十分に利用することができていない。そこで本研究では、上記のマルチレート系に対し、サンプル点上の応答とは独立にサンプル点間応答を再設計する方法について検討を行った。また制御対象の入出力データから制御系を設計する方法についても検討を行った。
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