研究課題/領域番号 |
25820188
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 石川工業高等専門学校 |
研究代表者 |
河合 康典 石川工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90413765)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 神経筋の電気刺激 / 協調制御 / ロバスト制御 |
研究概要 |
本研究は,「NMESによる3対6筋を考慮した下肢の閉ループ系による協調制御システムの開発」において,(1) 安定性・ロバスト性解析,(2) 実験装置の製作,(3) University of Floridaでの実験,の3つを計画書通りに実施した。ただし,日本で共同実験を行うことができる医療機関と実験についての検討ができなかった。 はじめに,安定性,ロバスト性解析では,拮抗2関節筋を用いた3対6筋からなる協調制御モデルを用いて,RISEによる制御器の設計と安定性解析をリアプノフの安定定理を用いて行った。また,筋肉のモデルに存在する不確かさを考慮して許容集合を示すことでロバスト性解析を行った。 次に,実験装置の製作では,NMESの実験を行うために国内で市販されているNMES装置の改良について検討したものの,電流容量やチャンネル不足のためにRehaStim(HASOMED)を購入した。それに伴い,制御器を実装するDSPが使えず,新たに制御装置Q8-USB(National Instruments)を購入した。足の角度を計測するエンコーダ(オムロン)とゴニオメータ(Biometrics),負荷装置も購入して実験装置を製作した。 最後に,10月6日-14日の期間,University of Floridaで実験を行った。この実験は,3対6筋を1つずつ順番にNMESで刺激することで,各制御が適切に行われるか実験を行ったが深部にある筋肉が動かせなかった。また,膝関節の伸展について,主動筋と拮抗筋を同時に動かす協調制御を行い,拮抗筋が働くときに主動筋が受ける影響について考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は,拮抗2関節筋を含む3対6筋をNMESでRISE制御することにより,人間の動きに近い動作をさせることである。そのために,安定性・ロバスト性解析を行い,シミュレーション,実験による検証を行う。 1年目は (1) 安定性・ロバスト性解析,(2) 実験装置の製作,(3) University of Floridaでの実験,(4) 医療機関と実験についての検討,の4つを計画した。課題が残った箇所もあるが,(4)を除く3つを達成することができた。これにより,研究期間内で明らかにする事項の中で,「下肢の3対6筋に対して,RISEを用いた制御器で安定性解析,ロバスト性解析を行う」ことが明らかにできた。この結果,本研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の2年目の計画は,当初,(1) シミュレーション解析,(2) 実験装置の製作と日本での実験,(3) University of Floridaでの実験,の3つであった。 (1)のシミュレーション解析は,1年目に行った安定性・ロバスト性解析の結果について,シミュレーションを用いて安定性解析,疑似外乱を用いたロバスト性解析,目標値追従性能の検証をMATLABを用いて行う予定である。(2)については,実験装置は完成したので日本での実験に修正する。課題は,研究室だけではなく,他研究機関や医療機関と連携した実験にすることである。(3)については,実験装置が完成したために University of Floridaでの実験が不必要な場合は中止も考えて検討する。シミュレーション解析から得られる結果をもとに,実験データと比較して性能の検証を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画した実験装置が要求する仕様を満たさなかったため,代替品とそれに伴う物品を購入したために差額が生じた。 その他の項目で当初の予定より多く費やしているので,そこで使用する予定である。
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