本研究は,「NMESによる3対6筋を考慮した下肢の閉ループ系による協調制御システムの開発」において,最終年度は(1)「実験」,(2)「まとめ」を実施した。 はじめに,「実験」ではレッグエクステンションを用いて,自分を被験者にして下肢の制御実験を2つ行った。1つ目は,主動筋に対して2自由度制御を行い,従来研究で用いたRISEに基づく制御に加えてニューラルネットワークに基づく制御を行った。2つ目は,主動筋と拮抗筋を同時に働かせる共収縮を用いて,主動筋にはRISEに基づく制御,拮抗筋にはニューラルネットワークに基づく制御を行った。研究成果として,主動筋に対してRISEに基づく制御を行うだけよりも,今回実施した2つの実験は制御性能の改善ができた。しかし,共収縮は動きの変化が少ない状況においては,有効性を見ることができなかった。 次に「まとめ」を行い,研究論文にまとめる作業を行った。本研究をまとめると次のようになる。(1) 拮抗2関節筋を用いた3対6筋からなる協調モデルを考えたものの,皮膚の表面からの電気刺激では刺激できない筋肉があり,4筋のモデルを考えた。(2) そのモデルについて,RISEに基づく制御に対して安定性,ロバスト性解析を行い,シミュレーションによる解析を行った。(3) University of Floridaでの実験を参考にして,我々の研究室で制御システムの構築を行った。(4) 共収縮の実験,ニューラルネットワークに基づく制御実験を追加することで,制御性能の改善を行った。今後の課題として,リハビリやスポーツへ応用する可能性について,医療関係の専門家と意見をまとめることである。しかし,医療機関を4つ見学して最新のリハビリ装置などを見るなかで,歩行支援のリハビリ装置には多くのニーズがあると思われた。
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