ビルや橋梁およびトンネルなどのコンクリート構造物の供用年数が長くなり,コンクリート片落下が頻発するようになった.検査が急がれる問題個所は膨大で,効率的・経済的な検査方法の開発が急がれている.本研究では,トンネルなどの構造物の自動診断を行う点検システムを開発することを目的とする.自動点検システムは,小型ロボット群およびカメラを用いた画像処理による位置測位システムにより構成され,無線操縦もしくは自動操縦によりトンネル内の壁面(天井面)を走行し,壁面を打撃しながら問題個所を検出する.効率的で,しかも足場を必要としないため,コストダウンが実現できる. ロボットは壁面に押し付けるための推力を発生させる推力部と,壁面を移動するための駆動部,マイコンや無線機器などの制御部,ソレノイドやマイクロフォンなどの計測部で構成されている.推力部はプロペラを使用し,走行部にはクローラーを使用した.また,検査位置を特定するために,カメラを用いた測位システムを構築した.測位システムにおいては,マーカーをロボットに取り付け,画像処理により位置を特定した.ロボットは,走行しながら壁面を打撃し打撃音を測定する.計測データは,解析用PCに無線送信され,PC内に保存される.同時に位置情報も保存される.検査終了後,位置情報と計測データを関連付け,検査結果を表示させる. 平成29年度は,カメラによる測位システムを改善するために,赤外線LEDとバンドパスフィルタを組み合わせたシステムに変更した.また,実構造物と同様に傾斜させた壁面に対する動作検証および模擬壁面を用いた欠陥検出性能の検証を行った.
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