本研究は,鋼構造物において発生し得る地震時脆性破壊について新たな破壊発生限界照査手法を提案することが目的であった.そのために,WES2808等で提案されている既存の手法では,深さ1mm程度以下の浅い初期亀裂からの脆性破壊の発生限界の予測に適さないため,そのような破壊挙動にも対応できる照査手法を提案することが重要な検討事項であった.様々なアプローチを検討した結果,新たに修正ワイブル応力を導入することにより,地震時脆性破壊の発生に関与する多くの因子を考慮することが可能となり,浅い初期亀裂からの破壊も予測し得ることを示した.そして,そのアプローチの応用例として鋼製橋脚の耐震設計実装への一案を示した.
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