研究課題/領域番号 |
25820208
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西藤 潤 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40456801)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 非ニュートン流体 / 自由表面 / 流れ則 / 変分原理 |
研究概要 |
変分原理を用いた非ニュートン流体の数値解析手法の開発を行うため,平成25年度は,1.複雑な境界条件を持つ定式化,2.流れ則に従う場合の定式化,3.定式化に基づいたプログラムの実装を行った. 1については,「複雑な形状をした壁面境界を扱う」定式化と「壁面境界上において壁面に直交する方向の流速成分が非ゼロの値を取りうる」定式化を行った.前者については変分原理による定式化だけでは表現が困難であったため,サブセルを使う数値的な工夫により改良を試みている.後者については,単純に壁面境界上で制約条件を導入する定式化を行った.従来の定式化では,変分原理を介して,解くべき境界値問題を別の体積積分のみで表現される別の等価なミニマックス問題に置き換え,そのミニマックス問題を解いていた.しかし,この後者の問題では,壁面上での面積積分を加えた形で定式化させた.これについてはすでにプログラムに実装済みであり,解析結果は26年度に行う実験結果と比較する予定である. 2については,応力の第二不変量を変数とする降伏関数の形を新しく定義することで,ひずみ速度によって粘性が変わるshear-thinning流体,shear-thickening流体などを表現することが可能となった.これらの非Newton流体を表現しうる降伏関数を導入したことは大きな成果であると言えるが,妥当性の検証はまだ十分であるとは言えず,次年度以降引き続き検証を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は,1.複雑な境界条件を持つ定式化,2.流れ則に従う場合の定式化を行い,それらをプログラムに実装することであった.2については,定式化および実装を完了している.1については定式化とその一部の実装が完了しており,引き続きプログラムコードの開発を行う予定である.コードの開発は計画段階から複数年かけて行う予定にしており,予定通りの進捗である.ただ,研究成果の論文投稿や学会発表は十分とは言えないため,一度研究成果をまとめる必要があると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
すでに非ニュートン流体の定式化については目的を達成したため,平成26年度は砂の流動性を表現しうる定式化を行う.また,複雑な境界条件を対象とした定式化をプログラムに実装し,実問題を取り扱えるようにする.さらに,妥当性の検証を行うため,非ニュートン流体のベンチマークとなりうるような実験を行う.これらの予定が早期に達成された場合は,弾性体との連成解析に着手する.
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次年度の研究費の使用計画 |
残金が少額であったため,使用しなかった. データを記憶させるデバイス(USB)の購入にあてる予定である.
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