メタンハイドレートを生産する手法の一つとして加熱法が提唱されている.加熱法を適用して生産を行った場合に,地盤内で生じる現象を調査しておく必要がある.そこで本研究では,恒温高圧平面ひずみ型実験装置を用いて,加熱法を適用した際のメタンハイドレート胚胎砂の分解過程の温度挙動を調査する.また,生産によりメタンハイドレートを失った地盤が不安定になり,地盤沈下や海底地すべりを引き起こす可能性が指摘されていることから,加熱前にせん断を与えることにより,不安定条件によるメタンハイドレート胚胎砂の分解過程の供試体の変形挙動を調査した.その結果,(1)供試体内部は加熱部から熱が伝わり,温度上昇している.また,加熱時に供試体の上下に差圧を与えることで,より広範囲まで短時間で温度が上昇することが確認された.(2)メタンハイドレートは温度上昇に伴い分解される.しかし分解されて発生したメタンガスの一部は供試体上部に移動することで,安定領域で再生成し,これにより間隙が閉塞されていることが示唆された.(3)水平方向において,加熱時はメタンハイドレートの分解に伴い,供試体の変形が下部から徐々に膨張しており,メタンハイドレートが分解されていない位置はほとんど変形しないことが確認された.(4)鉛直方向において,加熱時は温度上昇に伴い,圧縮しており,メタンハイドレートが分解した後も供試体上部からの影響により変形を起こすことが確認された.
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