研究課題/領域番号 |
25820218
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人港湾空港技術研究所 |
研究代表者 |
高橋 英紀 独立行政法人港湾空港技術研究所, その他部局等, 主任研究官 (60371762)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 遠心模型実験 / 砕波帯 / 波打ち帯 / 海浜地盤 / 相似則 |
研究概要 |
本研究では,大型の遠心模型実験装置を実験ツールとして,地盤工学的観点に立って砕波帯における海浜地盤の動態について調べることを目的としている。遠心模型実験装置を用いて砕波現象と地盤応答を再現することは挑戦的な試みであり,初めに造波状態の確認や相似則の検討を行う必要がある。そこで平成25年度には,当初の計画どおり,以下の4つの課題「1)遠心力場での造波状態の確認,2)遠心力場での相似則の確認,3)動画画像解析,4)次年度のためのトライアル実験」について取り組んだ。 1)については,既存の造波装置では造波できる波が限られるため,新たに造波板を平行移動させるピストン式の造波装置を開発した。この装置で遠心力場において省電力で作動することができるようになった。形成される波を計測し,それが造波理論に基づいて算定した値とほぼ合うことを確認した。2)については,異なる遠心力加速度場で結果を比較するModelling of models手法を用いて,砕波特性や地盤応答特性が遠心模型実験で再現し得ることを確認した。3)については,高速度カメラによって流体や地盤の動き撮影した。また,PIV手法による解析ツールも用意した。ただし,実験に適合したトレーサ粒子を導入することができず,画像解析については平成26年度への継続検討課題とした。4)については,平成26年度に実施予定の条件を変化させた実験のトライアル実験を実施した。 上記の1~4)の課題によって,遠心模型実験における基本的な造波特性や,砕波特性,地盤応答特性の再現性を確認し,観測ツールも確立できた。これらのことは,平成26年度に実施する砕波帯における海浜地盤動態の検討の信頼性にとって重要かつ不可欠なことである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」にも示したとおり,平成25年度の検討課題は,以下の4つの課題「1)遠心力場での造波状態の確認,2)遠心力場での相似則の確認,3)動画画像解析,4)次年度のためのトライアル実験」である。この中で,3)の動画画像解析においては,適合したトレーサ粒子を導入することができず,平成26年度の検討課題とした。その他の課題に対しては順調に取り組め,「研究実績の概要」でも示したように,研究成果を残すことができた。また,研究成果の一部を論文集に投稿することもできた。このため,自己評価としては「(2)おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」と「現在までの達成度」にも記したように,トレーサ粒子を用いた画像解析を実施することが平成25年度の研究からの継続課題である。これについては,トレーサ粒子だけでなく,色素による観察や撮影方法の工夫などを行い,引き続き検討を進める。検討にあたっては,模型実験における画像解析を専門とする研究者にも相談する。 当初の計画どおり,平成26年度には地盤や波浪などの実験条件を変化させたパラメトリックな実験を実施する。特に,透水性の高い材料を地盤材料とした海浜の安定化手法のメカニズムや適用条件を検討する。砕波帯における海浜地盤の動態を解明するためには,①外力としての波浪の影響評価(波高,周期,来襲回数など),②初期海底面の勾配や形状,③地盤材料の透水性などの影響を考える必要がある。遠心模型実験おいて,これらの条件をパラメトリックに変化させて,多様な実験条件下での地盤動態を調べる。また,平成25年度と平成26年度の研究で得られた成果と総合的にとりまとめ,学術論文等に発表していく。
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