研究課題/領域番号 |
25820220
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
秦 吉弥 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80463561)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 地震動 / サイト特性 / 余震観測 / 斜面崩壊 / 地震地すべり / 自然斜面 / 造成宅地 / 2011年東北地方太平洋沖地震 |
研究概要 |
1. 岩手県一関市にある中里地区舘ニュータウンの宅地造成斜面では,2011年東北地方太平洋沖地震において斜面崩壊を伴う深刻な被害が発生した.一方,2008年岩手・宮城内陸地震においては,当該斜面は無被災であった.これらの大規模地震時において当該斜面に作用した地震動を推定することは,宅地造成斜面の耐震性評価手法の精度向上などを図る上で大変有意義である.そこで,当該斜面近傍において地震観測を実施し,得られた記録に基づいてサイト特性を評価した.そして,経験的サイト増幅・位相特性を考慮した強震動評価手法に基づき,2008年岩手・宮城内陸地震ならびに2011年東北地方太平洋沖地震において当該斜面に作用した強震波形を評価した. 2. 宮城県亘理郡山元町では、2011年東北地方太平洋沖地震の地震動による道路盛土および宅地造成盛土の深刻な被害が多数発生した。当研究において、被災地点における地震動を明らかにすることを目的とし、被災地点等において余震観測を実施した。得られた記録を分析したところ、被災地点の地震動は強震観測地点であるKiK-net山元と山元町役場のいずれかの地震動に類似しているものと考えられた。本震時の波形が残されていない山元町役場については拡張型サイト特性置換手法を用いて本震時の波形の再現を行った。 3. 宮城県仙台市郊外の丘陵地では,2011年東北地方太平洋沖地震の強震動の作用により大規模な斜面崩壊が多発した。当研究では,まず,既往の現地調査結果に基づき被災状況を概観した。次に,現地において臨時の余震観測を行い,得られた結果に基づいて本震時に対象斜面に作用した地震動を評価した。最後に,本震時ならびに本震後における斜面安定解析を実施し,被災実績と比較することで,斜面崩壊範囲に着目した基礎的な検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
斜面崩壊地点や地震地すべり地において地震計を臨時設置し、2011年東北地方太平洋沖地震による余震記録を数多くキャッチすることに成功した。得られた観測記録を分析することで、大規模地震の強震動作用による斜面崩壊挙動(ダイナミック地すべり挙動)に関する知見を積み重ねることに成功しており、研究進捗は概ね順調であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、中小地震観測記録(主に2011年東北地方太平洋沖地震による余震記録)を積み重ねていくとともに、数値解析を併用して、ダイナミック地すべり挙動の予測の高精度化につなげていきたいと考えている。
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