研究課題
近年,我が国で発生した大規模地震では,地震動の作用による深刻な地盤災害(地震地すべりや宅地造成斜面の被災など)が多数発生している.地盤構造物(地震地すべり地や宅地造成斜面など)の耐震性評価の信頼性向上を図る上で余震観測が果たす役割は,非常に重要である.すなわち,大規模地震などにおいて実際に災害を受けた地すべり地や宅地造成斜面に対して,現時点で採用可能な被害予測手法(例えば,動的FEM解析など)を適用し,得られた推定被害と実被害を比較し,被害予測手法の適用性を確認する.適用性が十分でない場合には,その原因を究明し,被害予測手法の改良につなげる.こうしたプロセスを繰り返すことで,同種の地すべり地や宅地造成斜面の耐震性評価の信頼性が向上すると考えられるが,このプロセスにおいて,被害地点での入力地震動が精度良く推定できていることは決定的に重要である.上述した背景を踏まえ,2011年東北地方太平洋沖地震の強震動の作用により深刻な被害が報告されている宅地造成斜面において臨時の余震観測を実施し,得られた記録に基づいて,当該地点での地盤震動特性を評価することで,本震時に造成宅地に作用した地震動の推定を行った.また更に,一連の地震動の推定手順を明示することにより,被害が生じた造成宅地での余震観測の重要性を明示した.さらに,得られた一連の研究成果(既往の大規模地震により地すべり地および宅地造成斜面に作用した強震動を事後評価した一連の研究成果)を概観することで,地震動の評価に関する一連のプロセスにおける重要事項について整理した.さらに,得られた対象地点における推定地震動の特徴についても言及することで,今後の宅地造成斜面(および地すべり地)における耐震性評価のための入力地震動の設定に関する提言を行った.
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土木学会論文集A1
巻: Vol.71, No.4 ページ: in press
巻: Vol.70, No.4 ページ: pp.I_357-368
10.2208/jscejseee.70.I_357
http://www.dma.jim.osaka-u.ac.jp/view?l=ja&u=10000745