本研究では,定常的な高層気象観測が実施されていないカンボジアにおいて,独自に2地点同時に高層気象観測を実施し,その観測結果と領域気象モデルを併用することにより,季節的に湖面積が大きく変動する巨大湖・トンレサップ湖とその周辺陸域との間で形成される乾季前半の局地循環性降水のメカニズムについて検討した. 衛星及び地上で観測された降水量との比較により,2地点での昼間の高層気象観測データを同化するだけでも,当該降水の推定精度が向上することが示された.既往研究では夜間特有の現象に着目していたが,それに加え,昼間の湖風循環の発達や,それに寄与する昼間の陸域地表面フラックスの推定精度が重要であることがわかった.
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