研究課題/領域番号 |
25820226
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
瀬戸 心太 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50533618)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 衛星降水マップ / 豪雨 / 水文モデル / マイクロ波放射計 / マイクロ波サウンダ / 雨量計 |
研究概要 |
GSMaPプロダクトに示されている降水強度推定値を、高時間分解能の雨量計データを用いて検証した。雨量計データは、気象業務支援センターから入手した1分単位のものである。GSMaPの降水強度推定に使われたマイクロ波センサの観測時刻から10分間の雨量計データの平均値をとり、当該のGSMaP降水強度推定値と比較した。なお、平均時間やタイムラグについて、最適な値を詳細に調査した結果として、この設定を選択した。空間方向のマッチアップは、雨量計を含む0.1°格子のGSMaP推定値を、当該の雨量計による観測値と比較した。GSMaP推定値が0~20mm/hの範囲では、雨量計による10分平均値と良い一致を見せたが、GSMaP推定値が20mm/hを超える場合は、GSMaP推定値が過大評価であることが強く示唆される。GSMaPの降水強度推定に用いられたセンサ別にみると、マイクロ波サウンダが使われた場合に、マイクロ波放射計が使われた場合よりも、高い降水強度推定値が目立つが、それらは地表面の積雪などを強い降水と誤判定した可能性が高い。また、GSMaPに雨量計補正を入れたプロダクト(GSMaP_gauge)についても同様の評価を行った。0~20mm/hの範囲では、本研究で用いた雨量計との一致が良くなっているが、20mm/hを超える降水の推定値は、依然として過大評価である。 次に、水災害リスクを計算するための基礎となる水文モデルとしてH08(Hanasaki et al. 2008)を導入した。解像度1度の全球版を用いて、陸面モジュールや河川モジュールのパラメータの感度実験などを行い、高解像度な領域版を作成するための準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究実施計画に挙げていた項目のうち、GSMaPプロダクトの評価について、詳細な解析を行い、GSMaPと雨量計が20mm/h未満の範囲ではよく一致するという良い結果が得られた。また、3年間かけて構築を目指す水災害の実時間予測システムについて、基礎となる水文モデルを選定し、代表研究者の所有する計算機上で実行することができた。さらに、感度実験などをすすめ、高解像度の領域版として使う準備を着実に進めることができた。残りの一部の研究項目は、平成25年度に成果を得るには至らなかったが、データの準備などを進めており、残り2年間で成果を出せる可能性が十分にある。よって、本研究は、おおむね順調に進展していると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
二周波降水レーダ(DPR)が平成25年度中に予定通り運用を開始し、平成26年度中にはプロダクトが利用可能となる。DPRプロダクトを利用し、豪雨の推定精度を向上させるための研究に重点をおく。また、水災害リスク推定システムを、日本の九州地方やタイのチャオプラヤ川流域などの領域を対象として構築を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
すでに所有している計算機等の備品や消耗品を利用して、研究を進めることができたため、新たな備品や消耗品購入の費用がかからなかったため。また、初年度ということもあって成果発表をする機会が少なく、旅費についても予定額より使用額が下回ったため。 現在使用している計算機の老朽化および、使用するデータ量の増大、システムの構築が進むことにより計算量が大幅に増えることから、計算機を購入する予定である。また、成果発表や情報収集のための出張旅費に利用する計画である。
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