研究課題
海水面温度変化を考慮した全球確率台風モデルについて,従前の時系列相関型確率台風モデルとの精度比較を行った結果,新たに構築したモデルによる通過台風の気圧分布等には定性的に同程度の再現性を有することを示した.また,海水面温度の変動が大きな水域においては頻度分布の再現性が向上する傾向にある.全球確率台風モデルを用いて作成した5000年間相当の台風データを元に,2013年に発生したスーパー台風Haiyanの再現年数について推定した.これと既往の台風資料から算定した高潮偏差に対し極値解析を行うことで推定した結果との比較を行った.その結果,極値解析による推定結果が240年,確率台風モデルによる推定結果が360年となった.両者の差は100年程度であるが,オーダーとしては大きな差はない.ただし,前者の解析から得られる最大高潮偏差と再現年数の関係は凸曲線であり,後者のそれは凹曲線であることを考慮すれば,前者の推定結果は再現年数の変化に対してより敏感であることを意味するため,確率台風モデルによる推定結果の方がロバストな推定結果と考えられる.2015年に八代湾近傍を通過した台風は急激な水位上昇をもたらし,水門操作の遅延から氾濫を防ぐことができなかった.この台風は既往の台風と比較して,急激な水位上昇をもたらすポテンシャルのある台風であったことを数値シミュレーションより明らかにした.また,こうした台風は現在高潮浸水想定で考慮されている台風とは異なり,八代湾内のより内陸側を北進する台風経路を有することが明らかとなった.また,確率台風モデルにより,こうした台風経路の再現年数について試算を行った.
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Coastal Engineering Journal
巻: 58 ページ: 24p.
10.1142/S0578563416400015
土木学会論文集B3
巻: 72, No.2 ページ: 印刷中
土木学会論文集B2
巻: 71,No.2 ページ: pp. I_199-I_204
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