研究課題/領域番号 |
25820233
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人土木研究所 |
研究代表者 |
井上 卓也 独立行政法人土木研究所, その他部局等, 研究員 (20647094)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 岩盤河川 / 風化 / 侵食 / 水理実験 / 河床変動モデル |
研究概要 |
近年,岩盤河川の急激な河床低下により,橋脚や護岸の安定性が低下し,被災する事例が増加している.これらの岩盤河川は,乾湿により風化しやすいこと,固結度が低いため流砂により侵食されやすいことなど共通の特徴を持っている.しかし,風化-侵食のプロセスは未解明な部分が多く,これが岩盤河川の侵食地形を予測する上での課題となっている.そこで,本研究は,1.実験による風化-侵食プロセスの定式化,2.風化-侵食プロセスを考慮した河床変動モデルの開発,3.風化-侵食により形成される地形と形成条件の解明を目的としている. 1.に対する本年度成果: 実際の岩盤河川から岩盤ディスクを採取し,これに人工的な風化処理(乾湿繰り返し)を加え,風化度合ごとの侵食速度と物性値(強度など)を実験的に調査した.実験の結果,(1)岩盤の侵食速度は、岩質に関係なく一軸圧縮強度の-2乗に依存すること,(2)一軸圧縮強度は,乾湿サイクル数の増加に伴い,低下すること,(3)乾湿1サイクルにおける一軸圧縮強度の低下量は,岩質によって異なることが確認された. 2.に対する本年度成果:次年度に乾湿風化プロセスを導入するために,地形変動モデルの改良も行った.改良点は以下の3点である.(1)空間的な岩盤強度の違いの考慮できるようにした,(2)流量規模によって異なる流砂の移動形態(掃流砂・浮遊砂)とそれに伴う侵食プロセスの違いを考慮できるようにした. 3.に対する本年度成果:侵食のみを考慮したモデルを用いて,土砂供給と侵食地形の関係を数値実験により分析した.分析の結果,(1)供給土砂量が多い場合,砂礫は交互砂州の様に岩盤上に堆積し,露岩部のみ侵食されるため1つの深い澪筋が形成された.(2)供給土砂量が少ない場合,砂礫は殆ど堆積せず複数の澪筋が形成された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り,風化度合ごとの侵食速度と物性値(強度など)を実験的に調査し,乾湿風化プロセスを導入するためのモデル改良も進んでおり概ね順調と言える.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は風化-侵食プロセスを定式化し,これを組み込むことにより河床変動解析モデルの精度向上を図る.また,岩盤の風化作用に影響する流量変動(洪水流量と渇水流量の比,サイクル数),岩盤の侵食に影響する供給土砂量を変化パラメータとした数値実験を行い,風化-侵食により形成される地形と形成条件の解明を行う予定である.
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