本研究では,災害時の支援物資の物資集積拠点における物資の計画に関して,検討を行った.東日本大震災において支援物資の輸送のために用いられた一次物資集積拠点,二次物資集積拠点という体系を基に,どの拠点にどれだけの物資を移動・保存すべきかに焦点を当てた. 東日本大震災における物資集積拠点で生じた混乱や問題点を整理し,課題をまとめた.さらに,東日本大震災を受けて,国や都道府県などが進めている対策を調査した. 国は,民間の物資拠点の活用,民間企業による救援協定の進展,被災者との物資マッチングシステムなどの構築を進めており,災害時に必要な物資を必要な量届けるための対策を行っている. 一方,巨大災害の危機にさらされている都道府県においては,災害後3日間の備蓄物資を確保すべく,住民への周知・啓発を行っている.さらに,交通の代替性と輸送能力を分析し,災害想定に対し,必要な物資を確保するための検討を行っている. 国,都道府県それぞれの立場で綿密な計画が行われているが,実際の災害時の集積拠点の運用や計画は十分ではない.本研究では,支援物資の集積拠点での物資管理計画や運用計画に取り組むことを目指していたが,それ以前の段階で緻密な想定が必要とされ,地域性の影響が大きいことがわかった. 一般的な物資集積拠点の考察は,困難なため,個別の事例を調べた.大都市における災害時の支援物資の調達は困難を窮めるため,特に大都市の災害時の物資拠点となり得る施設の立地・規模などを調査した.
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