研究課題/領域番号 |
25820252
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
松田 曜子 関西学院大学, 災害復興制度研究所, 准教授 (90632711)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 参加型防災 / まちあるき / 地図づくり / 広域避難者 / 災害脆弱性 |
研究実績の概要 |
平成26年度の研究実績は以下のとおりである。 1)社会的排除という側面から参加型計画や防災が抱える課題と、それを克服するための取り組みを検討した。昨年度検討した社会的排除・包摂概念の整理と、我が国における参加型計画・防災への適用可能性にもとづき、防災以外の社会的課題に関心を持つ住民層も巻き込んだ地図づくりやワークショップ等の参加型取り組みについて検討した。また、西欧で発展した「参加」のあり方とは異なる我が国における「参加意識」について検討を行った。 2)上記の実際的取組のうち、愛知県で実施された「手づくりハザードマップ」の政策成立過程に着目し、数百から1,000世帯程度の小地域における内水氾濫や水害の避難について、「住民参加の枠組み」をつくり、より多様な地域住民の関心を呼び起こす施策のあり方について検討した。 3)阪神・淡路大震災や東日本大震災において被災者の属性について調査した既存研究などを用いて、過去の災害における社会経済的な格差と実際の被災の相関について分析を行った。さらには、現在進行形の形で社会的排除状態にあると考えられる、東日本大震災における広域避難者、なかでも自主避難者の問題に着目し、問題の構造化と国内避難民問題の文脈における解釈を試みた。 4)参加型防災や社会的包摂分野で研究実績のある専門家との研究打合せや、専門的知識の提供を受ける機会を持った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
事前の研究実施計画のうち、関係者へのヒアリング等は概ね計画通り実施できた。愛知県における実際の政策事例(手づくりハザードマップ)について検討を進めることができた。また、現在の問題として特に東日本大震災からの広域避難者の問題を社会的排除の状態にあると位置づけ、支援活動の事例を社会的包摂の事例として収集することができた。当初予定していたアンケート調査については、研究手法の再検討のため実施を見送った。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度はこれまで着目した「手づくりハザードマップ」事例の関係者へのヒアリングを進め、防災以外の社会的課題について関心を持つ層との接続についてさらに検討を行う。また、災害被災者における社会的排除状態の検討として、引き続き広域避難の当事者の置かれた課題についても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度の研究実施計画のうち、研究手法の見直しにより郵送アンケート調査の実施を見送ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き研究手法の見直しを図り、「社会的排除・包摂」の状況と防災への参画の状況の関連について、各地の「参加型防災」の事例当事者、あるいは平成25年度に取り上げた広域避難者支援の当事者に対する詳細なヒアリング調査に関する費用として充当する。同時に、当初より規模を縮小して平成26年度に実施できなかった調査の実施費用として充当する。
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