研究課題/領域番号 |
25820257
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人土木研究所 |
研究代表者 |
安井 宣仁 独立行政法人土木研究所, その他部局等, 研究員 (90547481)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 下水再生水 / 紫外線消毒 / 感染リスク評価 / Norovrius |
研究概要 |
本研究では、下水処理水再利用の促進を図る上で、再生水処理技術として紫外線消毒を適用した際の病原微生物の感染リスク低減効果を明らかにし、その適用管理手法を構築することを目的としている。 平成25年度は、紫外線照射装置ならびに実験環境を整えた。また再生水原水の濃度変動(水質変動)、紫外線消毒による除去変動(処理変動)等の不確実要素を考慮するために実下水処理場2箇所にて、水量変化を考慮した24時間採水を行い、紫外線消毒用の試験試料を得た。 予備実験として、採取した試験試料の紫外線消毒を行い、試験水中のノロウイルス濃度を増幅域を拡張した遺伝子定量法(Long-target-RT-PCR法)により遺伝子減少量の把握を試みた。その結果、既存の抽出方法、定量方法では一部の領域、特に長鎖域での増幅が極めて困難であった。そのため、ウイルス抽出方法、精製法等を一部見直し再検討した結果、増幅効率が短鎖領域よりも低いが、増幅することが可能となり、構築した前処理手法で良好な結果が得られた。 また、同様に予備実験より、実下水処理場にて採水した下水処理水は、水質状況によっては処理水中のノロウイルス濃度が低く、紫外線照射後に濃度減少割合を把握するのが困難であったため、実験室にて流入下水と活性汚泥から擬似処理水を作成し試験とした。作成された擬似処理水は、一般的な標準活性汚泥処理水の水質、ノロウイルス濃度よりも高い状況であり、処理水の水質が悪化した際を想定した水質状況であることが確認できた。 今後は、擬似処理水、実下水処理水を試験水として、様々な水質状況における紫外線消毒効果を把握するとともに、取得したデータを用いた定量的微生物リスク評価を実施し、下水処理水を対象とした効果的・効率的な紫外線消毒手法の確立を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度は、定期的に下水処理場より処理水を採水し紫外線照射を行い、紫外線照射前後のノロウイルス濃度、代替ウイルスの大腸菌ファージを用いて実験を行う予定であったが、実下水処理場より採水した処理水を用いた予備実験の結果から、特に長鎖域での増幅が極めて困難であったため、適切に紫外線消毒を評価するための定量方法の構築を実施した。その結果、ウイルス抽出の前処理方法、精製方法により、長鎖域での増幅が可能となった。 また、処理水中の水質状況によっては処理水中のノロウイルス濃度が低く、紫外線照射後に濃度減少割合を把握するのが困難であったため紫外線照射前のノロウイルス濃度が比較的高濃度となるように、流入下水と活性汚泥から擬似処理水を作成し試料を調整した。 以上より、適切に紫外線消毒の効果を把握するためには、重要な事項であったため、平成25年度は上記内容について具体的に検討を行った結果、当初の研究実施計画が一部、遅れてしまった状況である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、実下水処理水、流入下水と活性汚泥より作成した擬似処理水を試験水として、水質状況異なる試料にて紫外線照射実験を行い、逐次取得したデータを用い、定量的病原微生物リスク評価を実施する。当初の計画では、試験水として水質変動を考慮した実下水処理場での処理水を試験水として利用する予定であったが、リスク評価の信頼性向上ならびに紫外線照射における、ウイルスの低減量を明確に把握するために、主に擬似処理水を対象水とし、異なる水質状況の擬似処理水を作成し実験に用いる予定である。 リスク評価においては、様々な利用用途におけるリスクシナリオを設定し、リスク評価を実施する。主にリスクの感度分析から、最適な紫外線照射方法、適用方法を探り、下水再生水利用時の紫外線消毒の運転管理指針を提案する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画では、実処理場での採水、国内での学会発表のための旅費として計上していたが、本年度は分析作業、予備実験に時間を割いたため、旅費の執行が一部滞ったためである。 適切に紫外線消毒が行えるように紫外線照射装置等の実験環境の整備は行えている。継続して紫外線消毒における、ウイルスを定量するために、ウイルス抽出・精製kit、濃縮用の試薬等、実験器具の消耗品を購入する予定である。また、成果発表を行う際の出張旅費、処理場での試験水採取のための調査旅費、論文投稿時の英文校閲に係る費用に充当する予定である。
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