本研究では,ハイブリッド型繊維補強によるポーラスコンクリートの耐久性改善を目的に,①粗骨材間を架橋する一定長さの短繊維を用いたポーラスコンクリート組織の補強(単独補強),②単独補強①と微細繊維を用いた結合材補強の併用(ハイブリッド型補強Ⅰ),③ハイブリッド型補強Ⅰと構成材料間の付着特性改善のためのポリマー混入の併用(ハイブリッド型補強Ⅱ)を適用した供試体を作製し,それらの耐久性試験を実施している。研究期間3箇年の最終年度である平成27年度は,次に示す促進耐久性試験及び屋外暴露試験を予定していた。 (1)ハイブリッド型補強Ⅱの供試体についての乾湿繰返し及び凍結融解試験(促進耐久性試験) (2)単独補強,ハイブリッド型補強Ⅰ及びⅡの供試体についての屋外暴露試験 (1)で予定した凍結融解試験は前年度に実施しており,耐凍結融解性に対するハイブリッド型補強Ⅱの優位性を明らかにしている。乾湿繰返し試験については,相対動弾性係数が60%以下又は130サイクルになった時点において,供試体の曲げ試験を行ったものの,曲げ性状に及ぼすハイブリッド型繊維補強の影響を明らかにするには至らなかった。しかし,凍結融解のような過酷な環境下での耐久性改善にはハイブリッド型補強Ⅱが優位である。(2)については,研究初年度に供試体を作製し,北海道泊村及び東京都三宅島での屋外暴露2年を経過した時点で実施した相対動弾性係数及び質量減少率の測定結果から,現状では明らかな劣化が認められなかった。そこで,当初予定した曲げ試験等は今後実施することとし,屋外暴露試験を継続することにした。 なお,3年間の研究で得られた知見を精査した結果,ポーラスコンクリートの圧縮強度,静弾性係数及び動弾性係数の関係を明らかにするとともに,複合則を適用したポーラスコンクリートの静弾性係数推定法を提案するに至った。
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