平成26年度は、③「非定常・不均一屋外温熱環境評価技術の改良と人体歩行特性モデルの組み込み、並びに精度検証」、②「屋外温熱環境の生活者の温熱生理、空間滞在・移動への影響の再調査」、⑤「作成された評価技術の屋外環境設計への適用」、⑥「研究全体のとりまとめ」に取り組む予定であった。 ③については、前年度に文献輪読で内容把握に取り組んだ人体歩行特性モデルを作成し、研究代表者が制作している屋外温熱環境評価技術に組み込んだ。ここでは、既往の建築計画分野で提案されてきた人体歩行経路選択モデル(Social Force Model)に前年度に行われた実測で得られた熱環境条件が歩行者の経路選択に与える影響の関係を組み込んだ。②については、研究代表者が所属する大学キャンパス内で前年度に福井駅前広場で行ったものと同様の実測を行った。前年度の実測対象に比べ、キャンパス内の高層建物周辺に生じるビル風と局所的な日影分布、空間滞在者の大半が学生という特異性、の影響により、前年度ほど熱環境条件と歩行者の行動選択の関係把握に関する優位な知見は得られなかったが、学生を被験者とした夏季屋外空間内における空間滞在者の熱的生理反応に関しては、人体部位別皮膚温度、深部体温の推移をはじめ注目する知見が得られた。⑤については、③、⑤の成果のとりまとめに時間を要したため、十分な成果を得るに至らず、今後の検討課題となった。⑥については、平成25年度、平成26年度の研究内容を整理・総括した。
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