研究課題/領域番号 |
25820281
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
羽原 宏美 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30566047)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 居住者行動 / 排熱換気 |
研究概要 |
本課題では、シミュレーションを通じて断熱性能の向上による暖冷房エネルギーの増加要因を解明する計画である。平成25年度~26年度においては、シミュレーションモデルを精緻化するために、本研究で構築した室内温熱環境調節行為モデルの拡張について検討を行う。既往研究により断熱性能の向上に伴って冷房期間が拡大し、冷房エネルギーが増加する可能性が示されていることから、夏期の通風・冷房行為に関するモデリングを重点的な検討課題とした。 平成25年度においては、夏期の通風・冷房行為に関する実態調査を実施する計画であった。実施方法ならびに分析方法について、過去の実態調査データを流用することにより事前に検討した。検討の結果、エアコン操作・窓操作は、居住者の在室行為(入室、在室、退室)や生活時間(朝起床直後、夜就寝前)と関連性が強いことが判明した。また、在室者がいない時間においても長時間の窓開放が行われている状況が多く観察された。当初の計画では、在室状況については過去の実態調査に倣って記録用紙を配布して調査協力者に記入を依頼する予定であったが、在室状況に関するデータは居住者の通風・冷房行為を分析する上で重要なデータであると判断し、平成25年度においてはデータの確度を向上させるために在室記録ロガーの開発を検討した。このため、調査の実施は、平成26年度に延期した。 また、平成27年度に計画しているオーバーヒート緩和策の検討に関連し、(独)建築研究所において防犯配慮型窓を活用した排熱換気に関する効果実証実験ならびに建具の流量係数同定実験を実施した。本実験で得られたデータは、後に行うシミュレーションにおいて入力データとして使用する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、平成25年度において、夏期の通風・冷房行為に関する実態調査を実施する計画であったが、実施を平成26年度に延期した。これは、過去の実態調査データを流用することにより行った事前検討の結果より、実施方法に改善の必要があることが判明したためである。温熱環境調整行為モデルの拡張は、平成26年度内に完了する計画であるが、事前検討を通じて実態調査データの分析方法を確立したことから、計画の遂行に遅れは生じないものと予想される。また、平成25年度に検討した在室記録ロガーを実態調査で使用することにより、確度の高い在室状況に関するデータを収集することが可能となった。夏期の通風・冷房行為を分析する上で在室状況は極めて重要なデータであることから、より正確なモデリングを検討できることが期待される。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度において、実態調査データに基づく断熱性能の向上による居住者行為への影響を分析する計画であった。事前検討の結果、エアコン使用・通風利用に対する方針が世帯により大きく異なることが判明しており、本課題で予定していた調査対象世帯数(20世帯)では断熱性能による行為の相違を分析することは難しいことが予想される。本研究では、別の課題において夏期のエアコン使用・通風利用に関するWEBアンケート調査を平成25年度に実施した。この調査では居住者が選択した通風冷房行為と合わせて、入居中の住宅建物の建築年を2,571世帯から聴取した。無論、WEBアンケート調査では時系列でデータを収集することができないため、詳細な分析は不可能であるが、エアコン使用・通風利用に対する方針の大略を把握することは可能である。本課題では、断熱性能による行為の相違についてWEBアンケート調査の結果を流用することで分析する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に予定していた実態調査を平成26年度に実施を延期したため、実態調査で使用するロガー類の購入を行わなかった。また、同理由により調査準備・実施補助に対する報酬が発生しなかった。このため、次年度使用額が生じた。 平成26年度においては、平成25年度から延期した実態調査を実施するためにロガー類の購入や、調査準備・実施補助に対する報酬として平成25年度からの繰り越し分と平成26年度請求分を合わせた額の中から使用する。
|