研究課題/領域番号 |
25820282
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
池谷 直樹 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 助教 (70628213)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 都市キャノピー / 数値解析 / 輸送現象 |
研究概要 |
本研究課題では2つの研究目的,(1)物理的視点に基づく局所輸送メカニズムの解明,(2)応用的視点に基づく都市内環境の評価,を掲げている.当初の研究計画において,H25年度に目的(1),H26年度に目的(2)を実施する予定であったが,研究遂行上の利便性から,(1)(2)の研究を同時進行している. (1)においては,主にサブテーマ(1)-2を実施した.床面に建物群を設置し,都市表面を模した実験系スケール(風洞実験スケールの粗面乱流境界層)を対象とした数値計算(ラージエディーシミュレーション)を行い,粗面上空の気流場,濃度場の解析を行った.データを取得するための数値計算は終了し,データ解析を行っている.まず,粗面上空の大規模乱流構造が,速度場に及ぼす影響を明らかにするため,それらが粗面上の速度低下(すなわち,運動量輸送)にどのように作用するかについて,乱流構造の抽出を行った.その結果,局所運動量輸送に作用する乱流構造の空間構造を明らかにし,大きな運動量輸送に作用する乱流構造を整理することができた. (2)においては,サブテーマ(2)-1, (2)-2を実施した.複数の幾何条件を対象して実スケール建物のラージエディーシミュレーションを行った.数値計算は終了した.データ解析においては,都市歩行者空間における気流速度を歩行者空間における快適製の指標であるととらえ,建物形状や配置が,歩行者空間速度にどのような影響を及ぼすかに焦点をあて解析を行った.その結果,都市幾何形状をパラメータとして,歩行者空間内風速が整理されることを示すことができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的(1)をH25年度に,目的(2)をH26年度に実施するという当初の研究計画を若干変更し,(1),(2)を同時に遂行しているが,それぞれのテーマは独立して順調に進んでいる.(1)においては,サブテーマ(1)-2として掲げた輸送メカニズムの解明のうち,速度場の解析はほぼ終了し,順調であるといえる.(2)においては,サブテーマ(2)-1, 2として掲げた歩行者空間気流の把握がほぼ終了しており,こちらも順調である.
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今後の研究の推進方策 |
研究目的(1),(2)それぞれの未達成のサブテーマを実施し,また同時に研究成果のまとめに取りかかる予定である. (1)については,速度場の解析に加えスカラー場の解析を行うことで,サブテーマ(1)-2の乱流組織構造による運動量・スカラー輸送メカニズムの解明を終える予定である.またサブテーマ(1)-1については,新規の数値計算を複数条件で行い,データ整理と解析を行う要諦である.計算系をサブテーマ(1)-1に比べて小さく設定することで,短時間での数値解析が可能であると予測している. (2)については,平均気流場の解析はほぼ終了している(サブテーマ(2)-1, (2)-2両方に関連)ため,得られた解析結果のまとめを行う予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費としてサーバーの導入を予定していたが,新規数値計算の計算規模の変更があり,大型計算機の使用が望ましいと判断し,当初納入を予定していた計算用サーバーの導入を見送ったため,物品費の使用額が当初予定より少なくなっている.また,学会参加のため計上していた旅費であるが,H25年度は国際学会の参加が無く,旅費としての使用額が少なくなっている.それは,H26年度に複数の国際学会があることが判明したため,旅費をそれらに充てることが最適と考え,H25年度での国際学会の参加は予定しなかったからである. 物品費として計上していたサーバー納入にかかる費用の次年度使用額は,大型計算機使用料に割り当てる予定であるが,研究の進捗状況によっては計算用サーバーに変更することも予定している.また,H26年度は複数の国際学会への参加を予定しており,旅費の次年度使用額を充てる予定である.加えて,H26年度については,論文作成費用,国内外学会参加費用等にかかる費用は当初予定していた通りである.
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