研究課題/領域番号 |
25820288
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
岡本 洋輔 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 産総研特別研究員 (80612184)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 点滅光 / 眼疲労 / 瞳孔 / LED |
研究概要 |
本研究では点滅光の点滅変化パターンおよび波長(色)の各特性が眼疲労に及ぼす影響を主観及び生理反応の測定によって明らかにすることを目的としている.眼疲労の評価に際して,主観評価に加えて生理反応による評価を行うために,瞳孔反応による眼疲労評価の可能性について検討を行った.異なる光刺激に暴露下での視作業前,途中および後に主観的眼疲労度および瞳孔径の測定を行い,両者の比較を行った. 暴露光刺激として,中波長と長波長成分の強度が同等な光(刺激1)と中波長と比較して長波長成分が強い光(刺激2)の2種類を用いた.被験者には,机上面に置かれた白色用紙上のある文字を選択するという視作業を各光条件下において30分間行ってもらった.視作業の前と途中および後に5段階評価による主観的眼疲労度の測定を行った.また,視作業の前と途中および後に,液晶ディスプレイ上に明(150 cd/m2)と暗(10 cd/m2)刺激を10秒ずつ交互に計2分間呈示し,その間の瞳孔径を連続的に測定した. 主観的眼疲労測定の結果,光刺激1条件では視作業前と比較して視作業後で,光刺激2条件では視作業前と比較して視作業途中と視作業後で主観評価値が有意に上昇した.さらに,光刺激1条件と比較して,光刺激2条件で主観的眼疲労度がより高くなる傾向が見られた.また,瞳孔径測定時に呈示された暗い刺激に対する瞳孔径について,光刺激1条件では,視作業前、途中、後で大きな違いは見られなかったが,光刺激2条件では,視作業前,途中,後の順に,暗い刺激に対する瞳孔径が大きくなる傾向が見られた.暗い刺激に対する瞳孔径と主観的疲労度に高い相関がみられたことから,暗い刺激に対する瞳孔径の大きさは眼疲労の評価に利用することが可能であると考えられる.今後は暴露光刺激に点滅を加え,眼疲労に与える影響を主観及び瞳孔径の測定によって明らかにする.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画を実現するために必要な光刺激呈示装置が特に問題なく作成できた.新たに購入したフリッカメーターおよび研究機関に設置済の瞳孔反応計測装置の使用方法も習得でき,実験を行うことができたため.
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今後の研究の推進方策 |
申請書記載の研究課題について,被験者を用いた実験を重ねデータの収集および解析に努める.
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次年度の研究費の使用計画 |
光出力フリッカ測定装置について,購入を予定していた製品よりも低価格で本研究での使用に必要な性能を持つ製品が他社から発売され,その製品を購入したため. 点滅光呈示装置の輝度や色についての出力範囲を広げられるように装備の充実を図るために使用する.また,実験被験者を増やしてより多くのデータを取得するための被験者謝金に使用する.
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