都市内での大気質の改善策や、防災などに関連した都市内のガス拡散においては、接地境界層内のシアーなどの機械的に生成される乱流渦がガス拡散を支配すると言われてきた。しかしながら、実際の大気境界層の接地層外には大規模な乱流構造が存在しており、その乱流構造も都市内のガス拡散に大きな影響を与える可能性がある。そこで、キャニオン内で生成される乱流だけでなく、接地境界層外の乱流が都市内のガス拡散に及ぼす影響を検討した。 本年度はより実街区に近い3次元キャニオン内を対象として、接地境界層外乱流がキャニオン内のガス拡散に及ぼす影響を検討した。その結果、2次元キャニオンと同様に風下に行くに従いキャニオン内の濃度は増加し、5~7列目より風下ではほぼ同じ分布となる。 以上のことから、ガスがキャニオン内から放出された場合、キャニオン群の端ではキャニオン外の乱流の影響を受けるが、2次元および3次元キャニオンいずれの場合でも、5~7列目以降ではキャニオン内で生成される接地境界層内の乱流がガス放出をほぼ支配している。
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