研究課題/領域番号 |
25820294
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
垣野 義典 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60385523)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 学校建築 / オランダ / ヘルマン・ヘルツベルハー / 個別教育 / 計画手法 / 建築的装置 |
研究実績の概要 |
①学校建築の発展と教育的需要の乖離 日本の学校建築にO.S( オープンスペース) の考え方が導入されてから40 年が経過した。法的制度が整い、O.S を持つ小学校は増加の一途を辿っている。一方国内の教育は2009 年に実施した「脱ゆとり」の弊害として、現場教師が授業への準備不足が問題となり、児童間学力格差が進行している。現在は集団教育、教師の自由裁量による教育の実現を前提としたO.S と、児童への個別対応が進められる教育的需要に乖離が生まれ、現在の事情に適した学習空間の在り方が模索されている。 ②オランダにみる先進事例 そのような中、日本のO.S に似ているが個別教育にも対応したラーニング・ストリート( 以下、L.S)型の小学校が計画されている。1950 年代、オランダでも画一的な教育が行われ、授業について行けない児童達の留年が社会問題となった。この問題に対応するため、当時の建築家達によって教室や廊下の一部を壁や柱で分節し、個別学習用に小空間を確保する方法が提案され始める[ 図1-1][ 図1-2]。これをもとにオランダの建築家、Herman Hertzberger( 以下、ベルハー) が体系化し、独自に発展させた計画手法がL.S である。L.S はO.S 型の小学校とそれ以前の主流であった片廊下型の小学校の中間に当たる形態的特徴を持つ。中でも、拡張性と分節性の強い学習空間計画が特徴である。本研究ではベルハーが計画したL.S 型の小学校を8校選定し、空間形態およびその使われ方を分析する事で、ベルハーの設計意図の検証を行い、その実態をあきらかにした。そして、日本における新たな次世代型学校建築の計画提案を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目にあたる2014年度は、現地通訳、現地の研究協力者のサポートがスムーズであったこともあり、問題無く調査対象地との連絡、研究協力依頼もスムーズに行えたため、全体を通して問題なく調査研究を完了することができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年度にあたる、2015年度は、2014年度の研究結果をふまえ、不足している調査データを補足するために再度調査地に赴くとともに、補足データ収集につとめる。
なお2014年度の研究結果は、日本建築学会学術大会論文として提出済みであり、2015年9月に口頭による論文発表を行う。なお2015年5月現在、2014年度までの調査結果を用いて、投稿用の審査論文を執筆中である。
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