超高齢社会においては、地域が抱える生活課題を解決する共助のしくみが重要となる。本研究は、住民主導の地域課題解決型の共助に着目し、取り組みによる地域内の人の繋がり形成とその効果を捉えることにより、新たな共助のしくみの構築と豊かに住み続けられる地域づくりのためのコミュニティ計画への知見を得ることを目的とする。 平成27年度は、高経年の分譲集合住宅団地で実施したアンケート調査の分析を居住者のライフステージに着目して行い、生活課題解決型の団地内共助への住民のニーズ・シーズ意識と団地住民の生活実態を明らかにした。主な結果を以下に示す。1)団地内の友人・知人数は10人未満が60%と少なく、増やしたい人が34%存在し、繋がりを求める人が一定数存在する。2)ライフステージごとの団地内の暮らしやすさ評価を比較すると、子育て世帯(中学生以下の子がいる世帯)が他の世帯よりも評価が低く、子育て世帯が居住継続できる環境づくりも重要である。3)「団地内に困った時に頼りにできる人がいる」は25%と低いが、「団地内に手伝ってもいいと思える人がいる」は37%であり、きっかけがあれば団地内共助が広がる可能性が捉えられた。4)前期高齢者と子育て世代はニーズもシーズも高く、手伝いが必要だが提供もできる世代である。 アンケート調査の結果を踏まえて、今後具体的な共助のしくみ検討を進める上での課題を明らかにするため、ヒアリング調査を実施した。結果として、依頼のしやすさ、認められた支援者として手伝えるしくみ、マッチング、料金設定という課題が捉えられた。 得られた成果は、調査対象団地の全世帯へ報告書を配布し、居住者が参加する報告会を実施した。
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