研究課題/領域番号 |
25820303
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
濱 定史 東京理科大学, 工学部, 助教 (40632477)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 板倉 / 群倉 / 伝統構法 |
研究実績の概要 |
研究は順調に推移しているといえる。これまでの研究により、現地調査においては、福島県会津地方、青森県下北半島において詳細な実測調査(平面・断面・構法図・各部寸法の採集)を行った。 桧枝岐村では、集落配置において、主屋の敷地から離して集団で建設する群倉形式がみられるため、集落配置図を作成した。桧枝岐村では戦後に民家の建替えが推進され今日では集落部に伝統的な民家は現存しないが、『檜枝岐村文書』の絵図および文書史料を用いて、近世末期の土地利用・所有状況の分析をもとに集落形成過程と空間構成について考察を行った。明治4 年(1871) 作成の村絵図「岩代国会津郡檜枝岐村絵図( 人数二百八十三人)」に描かれた土地所有・利用状況を分析し、近世末期における檜枝岐村の集落空間について復原的考察を加えた。同年作成の「檜枝岐村耕地絵図」には、「村絵図」に描かれていない民家の家屋形状や板倉と推測される小屋の描写がみられた。板倉は所有者屋敷の近隣の私有地・共有地に群倉を形成し、所有家に著しい階層差はみられない。立地範囲は本村の口留番所内外、川向の往還の東西に区分され、使用目的は災害対策のみならず多様であったと推測される。青森県下北半島では、柱間1尺程度の狭い間隔で壁面を構成する板倉が見られた。また、これまで報告されていた群倉の他にも多くの群倉立地を確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究はやや遅れている。本研究は研究計画において、特徴をもつ板倉の詳細な調査事例を増やし、伝統的な建築物に蓄積されてきた機能性について総合的に解明し、地域における板倉構法の特徴とその成立を明らかにすることを目的としている。昨年度予定していた青森県下北半島における研究では、文献調査や調査準備は順調に実施できたが、現地実測調査においては体調不良及び天候不良により調査を延期したため、今年度実施することとする。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、青森県下北半島において詳細な実測調査(平面・断面・構法図・各部寸法の採集)を行い、聞き取り調査により東北地方における板倉の機能について明らかにする予定である。また、最終年度となるため成果を学会論文にて発表予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は、予定していた青森県下北半島での実測調査が、体調不良および天候不良のため実施することができなかった。調査を無理に実施することなく、延期としたため次年度使用額が生じている。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度実施できなかった現地実測調査を実施する。また、本年度は最終年度となるため研究成果を学会論文で発表する予定である。
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